エディ・ヴァン・ヘイレンはなぜ偉大なのか? 天才ギタリストが音楽界を席巻した6つの理由

4. ニューウェイヴの全盛期に、あえてキーボードのあるハードロックに挑んだ

ロックがエディ・ヴァン・ヘイレンによる、フレットから今にも火でも出てきそうなあの技術の模倣ばかりにすっかり身を浸していた時期は、ブロンディやデュラン・デュランといったバンドたちが、叙情的なニューウェイヴの楽曲群でチャートを席捲していた時期でもあった。ここで彼はシンセサイザーを基盤としたトラックでハードロックのヒットを放つという離れ業を成し遂げてみせる。「ジャンプ」には輝くばかりのギターソロがあるだけではない。今さらと聞こえるかも知れないが、こちらもまた、衝撃的なキーボードに全編を引っ張られているのである。

鍵盤の使用に関しては、ここまでに彼は「ロックン・ロール・ベイビー」や「ダンシング・イン・ザ・ストリート」のヴァン・ヘイレン・バージョンなどですでに実験を積み重ねてきていた。後者はバンドが最もディスコに接近した例ともなろう。しかし「ジャンプ」にはこいつにしかない独自の要素があった。楽しげで、かつタフなのだ。同じような気概で、やはりシンセをメインに据えていたジャーニーがやろうとしていたどの目標より、たぶん一番難しいところにまで届いている。そのうえ同じ『1984』のアルバムで彼は、ある意味ベースが全体を牽引するバラードだとも呼べそうな「ウェイト」で再びシンセを弾き、こちらもまたヒットにしてしまう。鍵盤は時代を下ったサミー・ヘイガー時代のヴァン・ヘイレンにおいて、たとえば「ドリームス」や「ライト・ナウ」に「ホエン・イッツ・ラヴ」といった辺りに明らかであるように、より大きな比重を占めるようにもなっていく。


Translated by Takuya Asakura

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