エルヴィス・プレスリーの1950〜60年代、ロックからポップへの移り変わりを聴く




今月5週間は自分で口ずさめる歌だけお送りしています。この「One Night」というのはルイジアナ州出身のR&B歌手スマイリー・ルイスのヒット曲だったんですね。さっきのニューオーリンズとかルイジアナとか、そういうローカリテイのある曲をエルヴィスがカバーしていたことになりますね。「One Night」はもともと先週ご紹介した『さまよう青春』という映画の挿入曲候補でレコーディングされたんだそうです。でも映画のプロデューサー、ハル・B・ウォリスという有名なプロデューサーが、この歌は野卑で淫らだということでボツにした。でもエルヴィスがやっぱりこれを歌いたいんだということで歌詞をちょっと変えてソフトにして再録音したのがこれです。野卑で淫らだったんですね、当時のエルヴィスは。

50年代、60年代と使用前使用後のように変わると申し上げましたが、その間に何があったか。入隊なんです。「闇に響く声」というのは、陸軍に入隊する召集令状がきて、でも映画の撮影が始まるからといって入隊を60日間送らせて撮影されたものなんですね。1958年3月に彼は二等兵として陸軍に入るんです。で、ファンから入隊免除の署名運動が起きた。そのときの模様は1961年に『バイ・バイ・バーディー』というブロードウェイのミュージカルで上映されました。映画にもなった。アン=マーグレットが出てましたね。入隊している間にもファンは待っているわけで、入隊の休暇を使ってレコーディングも行われたんです。そうやってレコーディングされた曲を2曲お聴きいただきます。1959年8月発売の「(Now and Then There’s) A Fool Such As I」、そして50年代最後のシングル「A Big Hunk O’ Love」=「恋の大穴」です。

Rolling Stone Japan 編集部

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