元ZIGGY大山正篤と手島将彦が音楽業界のメンタルヘルスを語る

左から、『なぜアーティストは壊れやすいのか?』著者の手島将彦とZIGGYの元ドラマー・大山正篤



─手島さんも音楽学校でいろいろな生徒さんを見てらっしゃるので、今の話に共感する部分も多いんじゃないですか?

手島:すごく分かりますね。僕の場合は演奏を教える方ではなくて、音楽ビジネスを教えているんですけど、専門学校って本当にいろいろな人が来るんですよ。基礎的な知識とか教養もバラバラ。だから、たしかにマンツーマンが1番楽なんです。一方で、他の人がいるからこそ刺激があるのが学校のいいところだと思っていて。ぶっちゃけて言えば、音楽全般において独学で学ぶのが不可能なものってあまりないんですよ。学校にわざわざ来てもらっている理由、価値ってなんだろうと考えると、意外と音楽じゃないところだったりもするんですよ。

大山:はいはいはい。

手島:「そんなこと音楽学校で働いている人が言っていいんですか?」と思われるかもしれないですけど、いい音楽を作るためには、そういうところが大事で。学校というのは、大きく社会みたいなものと捉えることもできますよね。

大山:すごく分かります。僕は横浜のスタジオで生徒にレッスンをつけているんですけど、そこのスタジオにはギター、ベース、ヴォーカルの先生が揃っていて。各々が別個で自分の生徒に個人レッスンをしているんですけど、結局、ドラムだけ叩いてもおもしろくない、ギターだけ弾いててもおもしろくないとなるんです。アンサンブルの楽器なので、ちょっとできるようになってくるとセッションがしたくなる。そうなった時に「お互いの先生同士で声をかけて、合同発表会みたいなのってできないかな?」って。そこで「結局これって学校じゃね?」と思って(笑)。学校のシステムに疑問を感じてパーソナル・レッスンにしたのが、パーソナル・レッスンの集合体って結局学校だね、と。でも生徒もすごく楽しそうにしているのを見ていると、すごく気持ちがいいというか。ほっといてもコミュニケーション取り合って、1つの音楽を作るというのはある意味正しい姿だよなって。

手島:たぶん今、大山さんがおっしゃったことって、本来の学校のあり方なんだと思うんですよね。特に日本だと、学校の枠に個人が合わせるスタイルじゃないですか。本当は、みんな違うよね、がスタートだったりする。世の中もそうで、それぞれに合わせたやり方が本来あるはず。そういった人たちがいい形で集まれる場があると、みんなハッピーなわけじゃないですか。

─実際に現場にいるお二人がそう感じているということは、他にも同じようなことを感じている人もいるわけですよね? なぜ音楽業界の中に、カウンセリングを受けるための場所があまりないんでしょう。

大山:うーん。企業カウンセラーであったり、スクールカウンセラーであったりが増えてきたのって、本当に最近ですよね。

手島:単純に最近まで世の中全体がそういうのに関心が薄かったのかなと思いますね。

大山:あとは、抵抗がある人が多いですよね。「カウンセラー、え?」みたいな。本当はハードルをもっと下げるべきなんです。精神科に通うことは、そこまで大きなことじゃないよって。アメリカのドラマとかを観ていても、ちょっと事件があったらすぐカウンセリング受けなさいとか、パキシル(抗うつ剤)を飲みなさいとかってシーンがあるんです。風邪もひきはじめで治すのが1番なので、それと同じで気分が優れなくて3、4日したら早めに話を聞いてもらおうとか。それぐらいまで敷居が下がってくれればいいなとは思います。

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