元ZIGGY大山正篤と手島将彦が音楽業界のメンタルヘルスを語る

─ミュージシャンにおいては、多少悩んでいる方がバンドマンらしいみたいなイメージもあるんじゃないかなと思います。

大山:あくまでも古くはですが、才能と狂気って比例するイメージが強い。たしかにこれは、ちょっと否定できない事実ではあるんですよね。カリスマと言われるような人は、それと同じだけ壊れている。ただ、そこに憧れてしまうと、狂気の形から入ってしまう。自分の好きなアーティストがツアー先のホテルからテレビをぶん投げるって聞いて真似してしまうみたいな(笑)。音楽とか演劇をやっている人たちは、いい歳になっても悪さ自慢というというか中二病を引きずったまま大人になってしまったという人が多い印象がある。

手島:書籍のタイトルを『なぜアーティストは壊れやすいのか』で出したとき、「俺はもともと壊れている」ってリプが一定数飛んできたんですけど、変な話、そういう人は実は壊れてなかったりするんですよね(笑)。

大山:そうですね(笑)。

手島:世界の方が狂っている 〜アーティストを通して考える社会とメンタルヘルス〜」というタイトルでRolling Stone Japanで連載しているんですけど、狂っていると思われている人は、世の中に合わせた人から見て狂っているだけかもしれない。実は、真実を突いた「狂い方」をしている人もいると思うんですよ。特にアートみたいな分野だと。それで良くないのが、無理をした結果、本来必要のないであろうドラッグにはしってしまうとか、無理を重ねることで依存症になっちゃうとか。

大山:自称キ○ガイと自称天才って、偽物なんですよ。本当に気が狂っている人に「気狂っているよ」と言っても、「俺のどこか気狂ってるんだよ!!」ってキレるじゃないですか(笑)。ミュージシャンに限らず、アート系の人って不器用な人が多いんですよね。マルチタスクができないというか。その分、ミュージシャン1本で食べていかないといけない。音楽業界って独特のルールがあって、ぶっちゃけ仕事ができなくてもなんとかなるところもあるじゃないですか。そこに慣れて大人になると、こんなことも俺はできないのかっていう負のスパイラルに陥ってしまう。

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