PassCodeの変化を促す「感情」の重み

表現にエモーショナルさが強まった理由

─実は「Ray」以降、皆さんの歌やパフォーマンス、表現からダイレクトに伝わるエモーショナルさ……人の温もりみたいなものがより強まっている気がするんです。

南:そのあたかさや温もりというのは、最近の曲のほうが出ているのかなと思っていて。『CLARITY』って聴くだけでちょっとあたかかくなるような、ハッピーな詞やメロディが多かったんですね。『ZENITH』の頃はわりと……まあ自分たちが楽曲に引っ張られるというのもあるんですけど、結構ダークな感じというか重たい気持ちに持っていかれる曲が多くて。そこが聴いている方からしたらカッコいいというのはもちろんあると思うんですけど、やってやるぞとか闘志を燃やすような『ZENITH』の曲にはそれが合っていたんです。でも、『CLARITY』を制作しているとき、平地さんに心境の変化があったのかなと思って。「今回は結構明るい曲が多いですね?」と尋ねたら、「明るい曲もいいなと思えるようになったから、そういう曲が多くなった」と言っていたんです。自分たちも心境の変化があったけど、平地さんの中でも「Ray」みたいな曲を出したことによって心境の変化が訪れた。その相乗効果で、人の温もりとか優しさとかが含まれた曲をPassCodeとしてやっても違和感がなくなってきたのかなと思いますね。

─「horoscope」では、南さんは作詞にも初挑戦していますよね。

南:作詞はずっとやってみたかったんですよ。今までは人の言葉を借りて表現している感覚があって、そこにどれだけ自分を寄せていけるかやっていたんですけど、自分が詞を書くことによって自分から出た言葉をまっすぐ歌えるんじゃないかって。メンバーにとってもPassCodeをやっている人間が書いている言葉なので、自分に近い表現があったり腑に落ちる歌詞があったりして、ほかの曲とは若干表現の仕方が変わってくるんじゃないかと思いましたし。



大上:私、「horoscope」の仮歌をもらったときに、聴いてめちゃめちゃ感動して、初めて仮歌で泣いたんです(笑)。そのときは南が作詞したってまだ知らなくて、あとから「『horoscope』、めっちゃいい曲じゃない?」って言ったら「それ、私が作詞したの」と返されて(笑)。だから共感しやすかったのかな。実際、ライブで歌っても感情が乗りやすいですしね。

─なるほど。では、ダンスという表現についてはどうですか? 曲の幅が広がったことは、ダンスにも影響を及ぼしているんでしょうか?

南:メジャー1stシングル『MISS UNLIMITED』(2016年10月発売)から、ELEVENPLAYのKOHMEN先生に振り付けを全曲やってもらっているんですけど、そこから私たちのダンスに対する概念が変わったんです。それこそミュージカルというか、目で見て歌詞を捉えることに近い感覚に変わったというか、一つひとつの動きにより意味が込められるようになったんじゃないかな。それによってステージの見え方が変わったなと思うし、曲が増えていくごとに見せ方の種類も増えたんですよ。曲ごとに違うものが見せられるというのは、ダンスがあるグループとしての強みだと思うし、KOHMEN先生がつける振り付けって見ていても面白いので、歌詞に沿った曲だったり、メロディにピタッとはまった曲だったりすると本当に気持ちよくて。曲が増えるごとにその武器が増えている気がします。

大上:本当に幅が広がりましたね。さっきも話した「4」や「horoscope」は具体的に言うと、「4」だとすごくセクシーな振り付けで、「horoscope」はちょっと演技っぽく、1人ひとり違う動きをしているし。

南:「horoscope」は目でも曲の世界観を楽しめるというか。〈天井の夜空がぐるぐると回って〉という歌詞では天井を指さして、天井に本当にプラネタリウムが見えているような景色が広がってきたり。さらに、天井に照明を当てることで実際にそういう景色を表現したり、五感すべてを使って感じてもらおうとチーム一丸となって楽曲の世界をステージで表現しているというのは、最近の傾向としてあるかもしれません。

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