PassCode1万字ロングインタビュー:現場で磨いた「ライブ力」へのこだわり

PassCode

大阪で誕生した4人組ラウド系アイドルユニットPassCode。メンバーの地元・大阪の小さな事務所に所属する彼女たちの活動は常に手探り状態だった。アイドルシーンでも異端、ロックシーンでも異端、目の前に広がるのは見渡す限りの荒野。自分たちの名を広めるには、ただひたすらライブを重ね、自らの手で道を切り開くしかなかった。そして、従来のアイドルにはなかったラウドに振り切った特異な音楽性と、今田夢菜の小さな体から放たれる強烈なシャウトが話題となり、口コミで評判が拡散。2016年、遂にメジャーデビューを果たした。しかし、徐々にその勢いを増していくかと思いきや、昨年夏にリリースしたメジャー1stアルバム『ZENITH』のレコ発ツアーは苦難の連続だった。体調を崩すメンバー、思い通りにコントロールできないステージ――しかし、そんなツアーだったからこそ得るものがあったとメンバーは胸を張る。

今回は、『ZENITH』リリース以降にPassCodeが直面した困難と、2月末にリリースしたインディーズ時代の代表曲を再録した作品『Locus』、そして4人の現在地と未来について、南菜生、高嶋楓、大上陽奈子の3人にじっくり話を聞いた。悩みながらもしっかりと未来を見据えている姿が頼もしかった。PassCodeは世界へ羽ばたくべきグループなのである。

「『ZENITH』のレコ発ツアーはこれまでのツアーのなかで一番大変だったかもしれない」南

―まずは、昨年11月から今年2月にかけて行われた、メジャー1stアルバム『ZENITH』のレコ発ツアーから振り返ってもらいたいと思います。

南菜生:今回はPassCodeのツアーのなかでも一番大変だったっていうぐらい難しかったというか、なかなか自分たちが満足できるものを届けることができなくて。お客さんに対して「今日のライブはイマイチだった」って言うのはよくないと思うんですけど、自分としては特に初日(TSUTAYA O-WEST)のことをすごく後悔してて。声が出なくなって歌が歌えない、ちゃんとしゃべることもできない状態で、そういうものを見せてしまったことが悔しかったんです。だけど、ファイナルシリーズのO-EASTは、来てくれた人たちに絶対いいものを見て帰ってもらいたいっていう気持ちでやってたんで、逆にちょっと重くなりすぎちゃって。

―MCでメンバー一人ひとりが涙混じりに胸のうちを告白してましたね。あれはあれでファイナルシリーズらしい、いい重さだったと思いますけど。

南:そうですか? でも、初めてPassCodeを観に来た人にとっては初日の空気感なんてよくわからないじゃないですか。重くやりすぎたと思ってます。

―素直な気持ちを打ち明けたからこそいいシーンになった気がするけど、本人たち的にはそうではなかったんですね。

南:「ちょっと暗すぎたなぁ」って話はするよなぁ。

大上陽奈子:うん、たしかに“生々しい”って感じはしたかもしれない。

南:でも、O-EASTのライブがあったからこそ、名古屋と大阪ではわりといつものPassCodeらしい感じでできたと思ってるので、結果的にはよかったのかなぁって。今回は、やってる最中はキツくてしんどかったんですけど、振り返ってみると経験値が上がったツアーだったと思えるので、今より上にいったらもっと大変なことって絶対に起こると思うし、そういう事態に対応できる能力がだんだん付いてきたと思います。

―高嶋さんはどうですか?

高嶋楓:メンバーの体調がけっこう悪くて、それにつられて自分のモチベーションも下がってしまったり、「どうしようどうしよう」ってなることが多くて、ステージ自体もダメなライブばかりだったと自分では思ってました。ファイナル以外の全公演がそういう気持ちやったから、毎回終わったあとにみんなで泣いたりして(笑)。でも、ファイナルが終わってから振り返ると、そういう経験をしたからこそ自分がステージでやらないといけないことがわかったし、責任感も強くなったから、結果的には悪かったけど、自分が成長するためにはいいツアーやったんかなって思います。

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