デビュー20周年のm-floとダンス・ミュージックの20年を振り返る

左からm-floのVERBAL、LISA、☆Taku Takahashi |Rolling Stone Japan vol.02(Photo by Shuya Nakano)


loves時代のステージングに影響を与えた、ベースメント・ジャックスの存在

ーベースメント・ジャックスからは影響を受けてますか?

☆Taku:受けてます。でもベースメント・ジャックスに影響を受けてる部分はライブの演出です。

ー本人たちもライブで楽器を弾くじゃないですか。そこにダンサーとかヴォーカリストが入ってくる感じが特徴ですよね。

☆Taku:生楽器が最低限でパーカッションだけで、残りが打ち込みのライブが一番好き。あれにはすごく影響を受けてる。

ーとなると2000年代中盤くらいですかね。

☆Taku:特にloves時代(2003〜08年)のライブの演出で参考にしたんじゃないかな。それこそLISAとYOSHIKAとRyoheiとエミリと日之内絵美とで回ったツアー(m-flo Tour 2005 BEAT SPACE NINE)があって、当時のベースメント・ジャックスもヴォーカリスト3人くらいと一緒にツアーしてたんですよ。


ベースメント・ジャックス。左がサイモン・ラトクリフ、右がフィリックス・バクストン。2007年、デンマークの音楽フェス「Roski ldeMusic Festival」での写真。ライブではDJ だけでなく、自らギターやマイクを持ちパフォーマンスをするのも特徴の一つ。(Photo by Getty Images)

ーダフト・パンクはどうですか?

VERBAL:ダフト・パンクってデジタルなイメージなんですけど、意外と温かいじゃないですか。ディスコっぽかったり、見た目はメカだけどヒューマンな感じというか。☆Takuもいろんな要素を混ぜていくっていう意味でダフト・パンクっぽいかもしれないですけど、音がそのまま直結しているかといったらそうじゃなくて、コンセプトというか考え方が似ているなと。

☆Taku:世界観の作り方とか、それこそ松本零士さんを呼んでストーリーを作ったりするといったところは影響を受けていると思うんです。でも、ダフト・パンクで影響を受けている曲って、どちらかと言うとトッド・エドワーズが参加している曲とかで。ダフト・パンクのアルバムだと『ディスカバリー』が大好きなんですけど、あれほとんどサンプルじゃないですか(笑)。

ーそうですね。

☆Taku:サンプリングは好きなんだけど、サンプルのネタは彼らはソウル系が多いじゃないですか。でもm-floのサンプルソースはソウルじゃない。それも間違えてるんですよ。


ダフト・パンク。トーマ・バンガルテルとギ=マニュエル・ド・オメン=クリストによるフランスのエレクトロ・デュオ。☆ Taku が語っている「音楽的に影響を受けたのは、トッド・エドワーズが参加している曲」は「Face to Face」「Fragments of Time」の2曲。(Photo by Getty Images)

ー間違えてるというか、そこがユニークさになってるってことですよね。

☆Taku:何が言いたいのかというとFPMの田中さん(田中知之)だったら頭の中でちゃんと鳴っててしっかりと狙ってやってると思うんですよ。僕の場合は狙えない。マグレなんです。僕の場合は狙ってない。針を落としてハマるか、ハマらないか。それだけ。

☆Taku:うん、ラッキーを待つ。

VERBAL:ラッキーを待つっていいね。

☆Taku:全部想定外なんですよ。こういう曲を作りたいって思うじゃないですか。それをVERBALとLISAに話して、2人とも分かったって言って全然違うものがくるんですよ。それが面白いんです。

ー独自のサウンドにつながると。

☆Taku:そうそう。m-floのマジックかな。

2000年代のエレクトロムーブメントで
強まったDJとしての表現欲求

ー2000年代中盤ってけっこうエレクトロな時代だったと思うんですよね。例えば、「サティスファクション」のベニー・ベナッシとか、LCDサウンドシステムもいて、そういう時代にはエレクトロの方向に行っていたように見受けられたのですが。

☆Taku:たぶん僕とVERBALはエレクトロに行ってた。LISAは行ってなかったよね。

VERBAL:エレクトロムーブメントがありましたよね。ダフト・パンクがちょうど来日した頃、今までのヒップホップに飽きた人、今までのロックに飽きた人、ファッションも今までのファッションに飽きた人たちがみんな集ってごっちゃで楽しく盛り上げていこうみたいなムーブメントがあった気がして。そのときに僕は全部を同時に体験したので、そこからエレクトロと言われる音楽家にもハマっていった感じですかね。

☆Taku:エレクトロがあってフィジェット・ハウスとかが生まれてくる時代になるけど、そのときはm-floから一番離れていたタイミングだったんです。その時代がいろいろなものを変えた典型として挙げられるのが、ウィル・アイ・アムがDJを始めたこと。VERBALが言ったことが記憶に残ってるんだけど、ウィル・アイ・アムがDJをしていたときにフィジェット・ハウスを流してたよって。

VERBAL:青山のル・バロンのように実験的なことにウェルカムな空間があって、ウィルと同じように僕もノリでDJを始めたんですけど、当時はトム・ヨークがDJで「ラッパーズ・ディライト」をかけて超盛り上がったり、そういうふうにお客さんのノリを感じながら、自分の次の作品のインスピレーションにしてるのかなとは思いましたね。

☆Taku:うん。ブラック・アイド・ピーズの「アイ・ガッタ・フィーリング」とか、ウィルがフィジェット・ハウスをかけてなかったら生まれなかった曲じゃないかって思ったりする。

VERBAL:めちゃくちゃDJ意欲が強い時代でした。どこでもいいからDJをさせてくれるところないかなって。渋谷のトランプルームでもやってたんだよね。

☆Taku:へえ。

VERBAL:時代的にみんな制作意欲があって、新しくてクリエイティヴなことをしたいっていう雰囲気だったのかも。

Interviewer = Tomo Hirata Text = Takuro Ueno (Rolling Stone Japan), Motomi Mizoguchi

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