戦後のガールポップ誕生伝説、伊東ゆかりと語る江利チエミ



田家:伊東ゆかりさんが選ばれた江利チエミさんの曲で1960年の「八木節」お聞きいただきました。

伊東:地方に行ったりしたときに、これを歌うと受けたんですよ。

田家:やっぱりライブっぽいですもんね。

伊東:1回どんちょうがバーっと開いたときに停電しちゃったときがあって、どうしようどうしようって。私と当時宮尾すすむさんと、どんちょうの前に出て「八木節」を私がアカペラで歌って。宮尾さんがあてぶりをする。それで停電の間を持たした思い出があります(笑)。

田家:お客さんは手拍子で。

伊東:手拍子で。感謝されましたよ。白けなくてよかったって(笑)。

田家:改めて知ったんですけど、さっき話に出た江利チエミさんのお父様はピアニストでありながら都々逸の柳家三亀松さんの三味線を弾いていた。お父様が三亀松さんと袂を分かって米軍で演奏するようになった。「さのさ」にしても「八木節」にしても、そういうある種の流れがあったんですね。

伊東:そこにジャズみたいなのを一緒にするっていうのは面白いですよね。ひばりさんの歌とはまた違いますもんね。

田家:やっぱりひばりさんとは違うなって思われます?

伊東:ひばりさんが歌っていたら私はきっと歌う気にならなかったと思う。難しくって。チエミさんがこうして歌ってくれたから「私にでも歌えそう」と思えたのかも。ひばりさんだったらとてもそう思わなかったかもしれない。

田家:何が違ったんでしょう。

伊東:いや、歌い方が全然違うでしょうね。

田家:チエミさんはやっぱりジャズっぽい。

伊東:だから、スーッと入っていけたんじゃないのかなと思いますけどね。

Rolling Stone Japan 編集部

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