コロナ禍に誕生したロックバンド、Midnight 90'sが語る「僕」や「君」を描かない理由

―アルバムには、ほぼラブソングがないですよね。かといって過剰に自分語りしているわけでもなくて、それが全体的に不思議な印象も受けました。それは、佐久間さんが作る曲は自分の感情をそのまま描くというよりも、言葉に色んな工夫を凝らしてアウトプットしているからなんじゃないかと思いますが、いかがですか。

佐久間:そうですね。歌詞はすごくこだわっていて、最近書いた「Location」は一番気に入っているんです。メロディも歌詞もリズムも、全部自分がやりたいことができたなと感じています。

―すごくポップな曲ですが、メロディはどんなイメージで書いたんですか?

佐久間:色んな曲を参考にしたんですけど、一番大きいのはさっき話に出たYogee New Wavesです。

名雪: 2年間一緒にいて思っていることなんですけど、佐久間って結構繊細なタイプなので、そこがすごく歌詞に反映されていると思っていて。曲を聴くと、めちゃくちゃ明るくもなくて、かといって暗いわけでも無いっていう微妙なバランスに、佐久間の人間性が出ているなと感じます。

―それは、接しているうちに「ああ、だからこういう曲が出来るんだな」って感じるものがあった?

名雪:曲を聴いているときと、接しているときと両方あります。歌詞を聴いてるときに、「もっとストレートに言えばいいのに」って思ったときがあったんです。自分が結構ハッキリしているタイプなので、白黒つけない感じの歌詞に疑問を持ったのがスタートで、それで佐久間と接しているうちに、「こういうのが佐久間らしい歌詞なのかな」って思うようになったんです。

―例えば曲のどんなところに出ていますか?

名雪:「迷子のまま」の歌詞には顕著だなと思います。繊細な悩みを歌にしていると思います。思春期なら、恋愛とか失恋は結構大きな悩みじゃないですか? でも佐久間の歌は大人になるときの葛藤とか、大人になった後の悩みとか、ちょっとスケールが違うというか、方向が違うというか。「そういうところで悩むんだ」っていうところが、佐久間らしいなと思います。

佐久間:ストレートに伝える曲も今後作れたらなって、初めてのバラード「きれいな花のような日々」を作ったんです。この曲は今、名雪君が言ったようないつもの自分が出ているんですけど、最後はストレートに言いたいことを言えたと思っています。

―綺麗なバラードですけど、すごいエモい感じも出てますよね。綺麗なメロディだけどギターは歪ませているというのが、このバンドの特徴の1つなんじゃないですか。

名雪:この曲、最初は歪ませる予定はまったくなくて。最後まで綺麗なままで終わらせようと思っていたんですけど、「綺麗すぎてるな」と思って、レコーディングの段階で急遽歪ませたんです。特にサビのところとか、強めに歪ませてます。バラード自体作ったことがなかったし、歌詞も佐久間にしては珍しいなと思っていて。今の若い人に刺さりそうな曲だなと思います。

Rolling Stone Japan 編集部

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