Yogee New Waves 角舘健悟が語る、雑多な世界で見出した歌のバランス感覚

Yogee New Wavesの角舘健悟(Photo by Yukitaka Amemiya)

全国ライブツアー「WINDORGAN TOUR 2021」を全公演終えたYogee New Waves。Rolling Stone Japanでは、フロントマンの角舘健悟にアルバム『WINDORGAN』の制作や自身の音楽ルーツなどについて語ってもらったインタビューをお届けする。聞き手は京都精華大学などで講師も務めるライター/音楽評論家の岡村詩野。

【写真】Yogee New Waves

─音の良さにまず驚きました。

角舘:あ、嬉しい。そうなんですよ。これまでとは全然違うと僕も思っています。音作りについてはエンジニアさん……柏井(日向)さんとかなり話したんです。マスタリングもかなりガッチリと……四角形になるように、広がるような感じにしてもらいました。フルレンジで酸素がみっちりと行き渡るような感じ。それが今の音だよなって。

─立体的という意味ですか?

角舘:そうです。一つ前のアルバム『BLUEHARLEM』(2019年)の時に、その柏井さんの録り方をメンバーと一緒に学んだ感覚があって。最初は戸惑ったんですよ。ギター・ロックだからもっとギターがでかくていいし、それに対して低音をスッキリさせた方がバンドっぽくていいなと思っていたし。でも、ある時からそういう感覚を排除したんです。ロウがちゃんとムチっと出てて、それがギターを押し上げていて、ドラムもキレイに録って……って感じの音作りに変えてみたんです。

─今回、歌のうまさ、ヴォーカルのクリーンなタッチが際立っているのもそれが理由なんですか?

角舘:あ、そうかも。

─もともと歌の表現力がある人だとは思っていたんだけど、もはやヴォーカル・ミュージック的な良ささえ感じさせます。

角舘:嬉しい。そこ、すげえ、大事にしているところですね。実は少し悩んでいた時があって。実は喉の調子が良くなかった時期があって……去年の8月くらいに、特に調子がよくなくて。

─え! 知りませんでした。

角舘:ハードなツアーを回ってきた幸せの代償かなとかって話をしていたんですけどね(笑)。それで一回歌い方を見直したところがあったんです。でも、それによってまた変化してきた。その胸骨が鳴ってる感じを柏井さんが録ってくれるから、歌ってて楽しいっていうのが大きくて。それで、昔の歌い方に少し戻っていったんです。1枚目を出してた頃のエッジーで、ちょっとイジワルな歌い方(笑)に。『BLUEHARLEM』の時はもっと優しさとか愛とかが声の中にテーマとしてあったんだけど、そこにもうちょっと負のエネルギーが入ってきてて合体している感じですね。一般的にイメージされるような、暖かい感じの優しさだけだと強いものを伝えるのが難しい。でも、そこにイジワルな感じ……裏を返すと頑固ってことなんですけど、優しいけど意志の強い声というのを今すごく狙っているんです。その両サイドがミックスされた感じ……これは歌詞の世界もそうですね。

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