安部勇磨が初のソロアルバムを語る 「無駄な音を排除しない」曲作りとは

安部勇磨

安部勇磨は愚直な男だ。好きなものには過剰なまでに思いを注ぎ、その暑苦しいほどの情熱に迷わず身を委ねてきた。never young beachというバンドのフロントマンとして体を張り、無邪気な1人のリスナーとしてレコードやCDを貪るように聴く。でも、そこに決して重い主張を与えすぎず、ある種の適当感で煙に巻く、そんな彼の在り方は、英語で言えば、「Honestly」と「Foolish」のちょうど間くらいの間でゆらゆらと漂っているような感じかもしれない。そして、そんな安部のことが私はたまらなく好きだ。

安部の初のソロ・アルバム『Fantasia』は、彼のそんな生の姿が、そのままポーンと放り投げられたような作品だ。1人で自宅で作った曲を、時にそのデモの一部も利用しながら、ふとした空気の変わり目も気まぐれに取り入れるような平温のリズム感でユルくレコーディング。香田悠真、嘉本康平(DYGL)、市川仁也(D.A.N.)らがサポートで関わり、デヴェンドラ・バンハートがギターで参加、細野晴臣がミックスで参加しているが、安部の「無駄のある音がいい、意味なんかなくてもいい」という正当性のあるんだかないんだかわからない、でもこれがいいんだ、こういう音楽があってもいいんだ、という個人の明確な嗜好がもわっと沸き立つような、なんともチャーミングな1枚に仕上がっている。

にも関わらず、予定の時刻から少し遅れて目の前に現れた安部は所在無さげで落ち着きもない。どうして? こんなに素晴らしい……というか、誰にも真似できないほど愚直なソロ・アルバムを完成させたというのに! まずは開口一番、完成した心境から訊いてみた。

─なんだか自信なさげですが。

安部:(笑)いや、なんかちょっと不安というか……もちろんみんなに聴いてほしいんだけど、聴いてほしくない……とまでは言わないですけど、聴かれるのが怖いっていうか(笑)。

─「デヴェンドラ・バンハートがギターを入れてくれた!」って、確か1年くらい前は意気揚々と知らせてくれてたのに。

安部:いや、まあ、あの時も、いや、これは騒いでいいのかわからないから少し冷静になろう、でもすごくいいからやっぱり誰かに言いたい! って感じの戸惑いはあったんですよ。

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