中島みゆきが歌う救いの手 瀬尾一三と共に語る

誕生 / 中島みゆき

田家:続きまして、『ここにいるよ』Disc2寄り添い盤の13曲目、最後の曲「誕生」です。1992年のシングルで、アルバムは同年の『EAST ASIA』ですね。そんなに前の曲という感じが全くありませんね。

瀬尾:題材も題材だし、内容も内容なので。少しゴスペルっぽいコーラスが入った感じで、自分の中で舞台設定を考えてやってしまいました。

田家:去年のラストツアーでは本編最後の曲で、このアルバムでも最後の曲です。やはり最後に締めくくりとして聴いてほしいということでしょうね。

瀬尾:なかなかこういう曲を3曲目なんかに持ってこれないですよね。緞帳が下りてきちゃうの? という感じがしませんか(笑)? 

田家:同じ時代に出会って生きてきた意味が歌われている、このアルバムの最後にふさわしい曲ではないでしょうか。この「誕生」は、ライブアルバム『歌旅』にも収録されております。「ファイト!」の次でしたね。それもすごい流れでした。去年のラストツアーの本編の最後の「誕生」は本当に感動的でした。最後にこの話をお訊きしたかったんですが、去年のツアーは24本中の8本を開催しました。あの8本を公にする、記録する予定はないんでしょうか?

瀬尾:本当は順調にいっていれば録画録音もできたでしょうし、そういう計画もあったんですが、それをやる前に終わってしまったので……。どうもこうもなす術がありません。

田家:でもあの8本は完成度も高くて、その時々のドラマもあってお客さんもちゃんとご覧になっていたわけで。

瀬尾:観た方の記憶に留まっていて、僕らにとっても記憶でしかないのでね。記録が一切ないんです。

田家:私も自分のツアー取材の最後にしようと思って同行させていただいていたのですけど。

瀬尾:リハから来てくださっていましたね。

田家:これはそのまま記憶に留めておくべきことなんでしょうね。

瀬尾:それしかないですね。8本の公演に来てくださった方々と関わった人たち、出演者、本人と田家さんの記憶で語っていきましょう。

田家:宝物が残ったということで。この先も分からないとしかいえないですね。でも瀬尾さんがみゆきさんともお話されていたわけですので、どうしようかということは水面下で色々進んでいらっしゃるんでしょうね。

瀬尾:企画があっても動けないですからね。

田家:またライブ会場でお会いできることを願いながら。1ヶ月ありがとうございました。

Rolling Stone Japan 編集部

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