中島みゆきが歌う救いの手 瀬尾一三と共に語る

中島みゆき


田家:そういう2021年1月の特集はこの曲から。中島みゆきさんのセレクションアルバム『ここにいるよ』Disc1エール盤より「時代」。

時代 / 中島みゆき

田家:特集の4週目というのは、この先のことをお伺いするケースが多いんです。2021年の瀬尾さんとみゆきさんの活動はどういう風になるのでしょう? まだ先が見えないとも思いますが。

瀬尾:分からないというか、まだ考えられないんですよね。こうしたい、ああしたいというのはあるけども、それが実現できるかという懸念があって。企画は立てられるんですけども、それを実行できる日がいつ来るのか、それを待っているという段階ですね。

田家:この曲のように、あんな時代があったよねという日が来ることを祈りながら。

最後の女神 / 中島みゆき

田家:続いて、『ここにいるよ』Disc2寄り添い盤の8曲目「最後の女神」です。先ほどの「時代」のシングルのカップリングに収録されていました。この曲は、オリジナルアルバムには収録されていなかったんですね。

瀬尾:よく考えたらアルバムに入れてないやと。中島さんの場合、僕が関わる以前からもアルバムに入っていないシングルが結構ありますからね。

田家:「最後の女神」も色々なアレンジのポイントがあるのではないかと思います。最後のロケットという表現が一つの要素になっているようにも思いましたが。

瀬尾:ちょっと具体化するために、宇宙飛行士みたいな要素も入れているんですけど、それはあくまでイメージであって実際のロケットを言っているものではないんですよね。例え自分以外のものが何もなくても、夢っていうのは必ず自分のそばにある。孤軍奮闘だとしても、夢を持っていれば必ず人間はそれだけで生きていけるということだと思うんです。

田家:この曲も昨年のラストツアーのセットリストに選曲されていました。それはやはりラストツアーの意味の一つということだったと。

瀬尾:そうですね。あと中島さんはこの曲が結構好きなんですよ。

田家:そういう話もよくされるんですか?

瀬尾:訊けません(笑)。彼女の中ではこの曲に固執する部分もあるんじゃないでしょうかね。

田家:でも改めてこういう状況下で聴くと、「最後に見た夢」というのが違う意味に聴こえたりもするなと思いました。

瀬尾:何に思いました?

田家:ラストツアーが中止になってしまって、最後の夢を見られなかったファンもいたわけですよね。最後に覚えている夢がそれだとしたら、ファンの人には少し胸の痛む曲になったのかなと思ったり。

瀬尾:なるほど。でも、こういう状況になるからと思ってこの曲を入れたわけでもないですしね。本当はいい夢であってほしかったんですけどね。

田家:次にこの曲を聴くときにどんな風に聴こえるかなと思いながら。今月は何度もこの話をしてますが、歌を書いた時には思っても見なかったような状況の変化が、その歌に違うリアリティを与えてしまう。「最後の女神」はまさにそういう曲かなと。さっきのツアーは別にしても、世界の状況という意味で。

瀬尾:まあ、「最後の女神」というのを字面通りに捉える必要はないと思うんですけど。人が色々な紆余曲折があって状況が変わっても、初めに持っていた想いがあれば、その先には女神というもの、夢が実現化する幸福が待っているということでいいんじゃないでしょうかね。

Rolling Stone Japan 編集部

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