米議会襲撃、白人至上主義者がヴァイキングと北欧神話に傾倒する理由

2021年1月6日、ワシントンDCのアメリカ国会議事堂で抗議活動を行うドナルド・トランプ大統領の支持者 そのうちの1人ジェイク・アンジェリは、顔にペイントを施して角のついた帽子姿がトレードマークのQアノン支持者。(Photo by Saul Loeb/AFP/Getty Images)

ドナルド・トランプ大統領支持者らが米連邦議会議事堂に乱入した事件をめぐり、上半身裸でバッファローの帽子を被った男を含む3人が逮捕・訴追された。「Qアノン」の「シャーマン」を自称するジェイク・アンジェリことジェイコブ・アンソニー・チャンズリー容疑者は、暴力的な不法侵入や治安を乱した容疑がもたれている。

チャンズリー容疑者は上半身裸で、顔をペイントし、バッファローを思わせる角のついた帽子をかぶっている。さながらParty City(アメリカ最大のパーティーグッズストア)のヴァイキングの衣装を着た人種差別主義者が、道を間違えてバーニングマン・フェスティバルに迷い込んだかのようだ。度々写真に撮られる彼の身体は、長らく白人至上主義者たちが好んだシンボルで覆いつくされている。

【画像ギャラリー】衝撃の「首つり縄」、米連邦議会議事堂の外に置かれた(写真19点)

腹部にはマイティ・ソーのハンマー「ムジョルニア」、乳首の周りには生命の樹「ユグドラシル」、心臓のすぐ上には、古代スカンジナビアのルーン文明のシンボルで、やがて憎悪の証として白人至上主義者の間で使われるようになった「ヴァルクヌート」。ちなみにムジョルニアは、ヒーザニズム(しばしば白人至上主義から派生した異端派をさす)を自称する人々にとっては、アイデンティティのシンボルでもある。

ユグドラシルやムジョルニアは、ネオペイガン(自然崇拝など、従来の宗教に囚われない多神教を信奉する集団)や古代北欧神話のファンにも人気なことからわかるように、その存在自体は必ずしも注意を喚起するものではない。だがヴァルクヌートとなると話は別だ。このマークの本来の意味については議論もなされ、絡み合う3つの三角形はヴァイキング時代の様々な遺物にも施されている。ヴァルクヌートという名前は、古代スカンジアビア語の「ヴァル」――殺戮の意味――と、結び目を示す「クヌート」を組み合わせた造語だ。

一部ヨーロッパ企業のロゴにも使われているが、ヒーザニズムを支持する人々は、オーディンに選ばれし戦士の仲間入りを果たす準備ができた――すなわち、大義のために戦士として死ぬ覚悟ができたことを示すシンボルとして使っている。Qアノンのように誹謗中傷的な陰謀論を標榜する保守派活動家がこのシンボルのタトゥーを入れた場合、必ずしも白人至上主義者であることを意味するわけではない。むしろ、歴史的背景には陰謀論的な世界観があり、信奉者は少なからず認識しているはずだ。

Translated by Akiko Kato

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