触る、舐める、挿れる、極悪ポルノ男優の所業が長年見過ごされてきた理由

ロン・ジェレミー(Photo by Rolling Stone / Getty Images)

複数の女性に対する数々の性的暴行容疑で訴えられているポルノ俳優ロン・ジェレミー被告。被害者は20人以上で、容疑は1996年から2020年におよぶ。すべての起訴内容で有罪となれば、最長330年の終身刑が求刑される。

2017年、ローリングストーン誌が最初にジェレミー被告の性的暴行容疑を報じた際、被告はすべて同意のもとで行われたと主張していた。今回は同誌に掲載された当時の記事を完全翻訳。ジェレミー被告の声明も掲載する。

ポルノ歴40年の大御所ジェレミー氏は64歳(註:掲載時の年齢)。決して外見で名声を勝ち得たわけではない。毛深く、肉付きのよい体格にぼさぼさの髪、のび放題の口ひげから、すぐに「ハリネズミ」の愛称で呼ばれた。性器のサイズ、精力絶倫、熟練した技術でたちまちその名を知られるようになった。深夜に放映されるB級映画はもちろん、TVシリーズ『アンソニー世界を喰らう』や映画『デトロイト・ロック・シティ』などメインストリームの番組や映画にカメオ出演した。またミュージック・ビデオにも多数出演している(LMFAOの「セクシー・アンド・アイ・ノウ・イット」では、日焼けした体に金のチェーンをぶらさげて登場)。

【動画】逮捕前のジェレミー被告が出演したミュージックビデオ、60代にして水着の美女たちと共演

「彼はごく普通の男性の代表です」。ジェレミー氏とはかれこれ30年以上も友人関係にあるポルノ俳優兼監督のニナ・ハートレー氏はこう語る。「一般的なポルノ視聴者は彼を見て、『ロン・ジェレミーみたいな奴も女を抱けるなら、俺にも望みはある』と思うんです」

こうした理由から、ジェレミー氏はポルノ界の有力者としての地位を得た――しばしば社会からつまはじきにされる業界の、ちょっとお茶目な、家族の大黒柱のような存在。だが業界内には、実際はこうしたイメージとははるかにかけ離れていると主張する女性たちも大勢いる。ローリングストーン誌が十数人の女性たちに公式・非公式の取材を行ったところ、ジェレミー氏が業界のレジェンドという自ら地位と女性たちがセックスワーカーであることを利用して、同意という基本原則を平気で無視している、と彼女たちは主張する。

「世間は彼にそれを求めているんです。私が怒り狂ってTwitterに書き込めば、みんな『それがロンだよ』と言うでしょう。ファンがヘンなことをすればルール違反だと言うのに」と語るのは、ポルノ女優のケンドラ・サンダーランドさん。2015年、ダラスの見本市でジェレミー氏から突然上半身を舐められたという。

Translated by Akiko Kato

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