触る、舐める、挿れる、極悪ポルノ男優の所業が長年見過ごされてきた理由

ロン・ジェレミー(Photo by Rolling Stone / Getty Images)



業界の「顔」だから周りは何も言えない

見本市でジェレミー氏から不適切な接触を受けたと主張する女優はデインさん1人にとどまらない。バンクスさんの拡散動画に登場する幾多の主張に加え、ポルノ女優ジェイ・タイラーさんも、2013年にロサンゼルスの業界コンベンションでジェレミー氏と会った際に、同意なく指を挿入されたという。「私は業界に入りたてでした。彼と写真を撮りたかった。すごく興奮していて、私もポルノ女優です、と彼に言いました」と本人。「一緒に写真を撮っていたら、彼が私のドレスに手を伸ばして指を挿れてきました」(一緒に見本市に来て写真を撮ったタイラーさんの恋人も、彼女の話を裏付けている)。

リンゼイ・Gさんはポルノ業界を専門とするジャーナリストで、2009年にエディソンで行われたExxxoticaでジェレミー氏にインタビューしようと接触した。彼女は名刺を渡し、Tシャツにサインしてくれと頼んだ。すると彼は彼女のシャツをめくりあげ、胸をわしづかみにし、そこにサインしたそうだ。そのあと胸をブラへ戻し、彼女の同意なく唇にキスしたという(一緒に見本市とアフターパーティに出席していた元同僚も彼女の話を裏付けている)。

「写真を撮っている人たちが笑っているのが聞こえました」。リンゼイさんは2017年6月に出版した著書『Watching Porn(原題)』でも事件について触れている。彼女はローリングストーン誌とのインタビューで当時をこう振り返った(本人曰く、著書の内容についてジェレミー氏からはなんの連絡もないそうだ)。「どうしたらいいかさっぱりわかりませんでした」と本人。「とにかく恥ずかしかった。私はプロに徹しようとしていたのに、そこにはプロフェッショナルのかけらもなかった。彼は最初から、誰にでもそうするみたいに、頭の中で計画していたんでしょう」

のちにジェレミー氏は、Exxxoticaのアフターパーティで彼女と彼女の同僚に近づいてきた。彼は後ろから彼女につかみかかり、首にかみついたという。その時は笑ってごまかしたが――「場をしらけさせたくなかったんです」――その時の経験で「心底動揺した」そうだ。

「以前にも性的暴行を受けたことがあります。同じ反応ではありませんでしたが、手は汗ばみ、すべてがチカチカするような感じでした。過去のトラウマに対する反応ですね」と本人。だが彼女の連れは笑い飛ばした。「彼は業界の看板ですから」と彼女は言う。「彼はよくも悪くもポルノ業界の顔。だからみな、彼の好き放題にさせるんです」

ジェレミー氏から性的暴行やハラスメントを受けたと言う女性たちにローリングストーン誌が行った取材の内容には共通点がある。本人たちは彼の行為に気分を害し、最悪の形で侵されたと感じているものの、彼と真正面から対面するなど、ましてや告発することなどできないとも感じていたことだ。それも業界内での彼の評判のせいだ。ワインスタイン事件後の今でさえ、著名な男性の評判がドミノのように崩れ落ちたとしても、おそらくロン・ジェレミー氏だけは性的な行き過ぎ行為が許されるだけでなく、それを期待される地球上で数少ない男性の1人だ。皮肉にも、こうした彼の評判が防護壁になってしまった、と被害者たちは言う。

「彼のせいで仕事ができなくなるのが怖いんじゃありません。彼にはそんな権力はありませんから」と、業界のベテラン、ジュリア・アンさんは言う。「私がもっと恐れていること、もっと頭にくるのは、私が何か言ってもみんなから白い目で見られて、『でも、それがロンだから』と言われることです」

Translated by Akiko Kato

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