JFKジュニアの悲劇の死は偽装だった? 陰謀論支持者たちが「復活」を信じる理由

1999年7月、悲劇の飛行機事故で亡くなった「ジョン・ジョン」ことジョン・F・ケネディ・ジュニア。(Photo by Stephan Savoia/AP/Shutterstock)

ジョン・F・ケネディ・ジュニアは、ジョン&ジャッキー・ケネディ夫妻の容姿端麗な息子にして、1999年7月の飛行機事故で、妻キャロリン・ベセットと義理の妹ローレンとともに38歳の若さでこの世を去った。そんな彼が実は生きていて、20年以上もペンシルバルニア州で暮らし、今はトランプ米大統領の熱烈な支持者だという。

2018年の中間選挙でも話題になった陰謀論ムーブメント「Qアノン」の支持者らに言わせると、JFKジュニアがまだ生きているだけでなく、20年の沈黙を破って世間に姿を現し、2020年大統領選の副大統領候補としてトランプ大統領の応援に駆け付けるつもりだと信じている。さらに、ピッツバーグ在住のヴィンセント・ファスカという男が実は自分がJFKジュニアだと信じ、自説を広めるTシャツまで作ってしまった。

最近になってQアノンの支持者らが「JFKジュニアのお面を作って、7月4日のトランプ大統領の集会に参加しよう」というチュートリアル動画を投稿したため、YouTubeで再び火が付いた。彼らは、JFKジュニアがこの日ついに姿を現すと信じているのだ(もちろん、現れなかった)。



ということで、この説は一体何を根拠にしているのか? いくつかポイントを挙げてみる。

・そもそも「Qアノン」とは何か?

Qアノンとは、巧妙に練られた陰謀論のこと。Qと名乗る匿名の人物(機密事項にアクセスできる権限「Qクリアランス」を持ったアメリカ政府高官とみられているため、この名がついた)が2017年秋ごろから、ヒラリー・クリントン氏やジョン・ポデスタ氏、バラク・オバマ前大統領といったトランプ大統領の政敵が大々的に反トランプ運動「ディープステート」を企てていると主張するメッセージを投稿している、というものだ。Qアノン支持者は、トランプの政敵が世界的な小児性愛組織を運営するなど数々の犯罪に手を染め、ロバート・モラー特別検察官の捜査は、実はそうした悪事を暴く捜査なのだと信じている。いつかQが正体を明かし、トランプが政敵を全員逮捕してグアンタナモ送りにする「嵐」の日が来るのを待っている。

・JFKジュニアが絡んできたいきさつは?

ケネディ氏が生きていて、Qを名乗っていたという説は、Qと名乗る匿名ユーザーが突然姿を消した直後の2018年6月に浮上した。Rと名乗る別の匿名ユーザーが8chanサイトのQアノンのフォーラムに現れ、JFKジュニアはディープステート陰謀のメンバーから命を狙われていたために自らの死を偽装したこと、実は彼がQだとほのめかす発言を投稿し始めたのだ。

この説は、リズ・クロキンという右翼陰謀論者のおかげでさらに世間の支持を集めた。彼は2018年、動画ブロガーのジェニー・ムーンストーン氏とのインタビューで、JFKジュニアのQとしての役割に言及した。動画の中でクロキン氏は、ジョン・F・ケネディ元大統領に関するQの投稿を引き合いに出し、JFKジュニアがアカウントを管理している何よりの証拠だと述べた。「JFKについて語るQの投稿はあまりにも愛情と情熱にあふれているので、私は近親者による投稿だと考えるにいたりました」とクロキン氏は動画の中で述べた。「もしJFKジュニアが死を偽装して今も生きているなら、彼がQだというのは筋が通っています」

さらに火に油を注ぐかのように、JFKジュニアのものとみられるトランプ称賛の発言がソーシャルメディア上でQアノン支持者の間で広まった。「親愛なるドナルド・トランプ氏が豪奢な億万長者の生活を犠牲にして大統領になると決断したならば、彼は誰も止めることのできない究極の正義の担い手となり、民主党も共和党もほめたたえるだろう」という発言は、1999年6月号のGeorge誌に掲載された記事の引用だとみられる(ケネディ氏が命を落とした飛行機事故は1999年7月16日)。

事実確認サイトPolitifactがのちに突き止めたところでは、ケネディ氏がこのような文章をGeorge誌に、他のどの雑誌にも寄稿した記録はない(ただし、一緒に投稿された写真は紛れもなく本物で、1999年3月のニックスの試合に現れた2人の姿が映っている)。事実というたわごとに自説を邪魔されたくないQアノン支持者らは、ケネディ氏とトランプ氏が盟友だったという説に固執し、例の発言は今も世に拡散し続けている。またJFKジュニアの「別の」発言も出回っていて、「たとえ政府全体を転覆させてでも」父親の死への復讐を果たすと誓っているらしい(この発言が事実かどうかは定かではない――いずれにしても、故リンドン・B・ジョンソン前大統領が父親の暗殺の首謀者だという非難に基づいた発言だ)。

Translated by Akiko Kato

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