刑務所内で撲殺されたボストンの元マフィア、殺された理由は「密告者」だったから

刑務所内で撲殺された元マフィア、ジェームズ・“ホワイティ”・バルジャー(Photo by Photo courtesy Bureau of Prisons/Getty Images)

悪名高きギャング、ジェームズ・"ホワイティ"・バルジャーは、米ウェストバージニア州ヘーゼルトン連邦刑務所で殺害された。

アメリカ現地時間10月30日午前6時頃、彼の独房に入っていく囚人2人の姿を監視カメラがとらえた。その2時間後、ニューヨーク・タイムズ紙によれば、バルジャーは「判別できないほど殴打されて」死亡しているのを発見された。ボストン・グローブ紙によれば、バルジャーの眼球はほとんどえぐり取られていたとのこと。さらに情報筋からの情報として、2人の容疑者のうち1人が終身刑で服役中のフォティオス・“フレディ”・ゲアス受刑者だと報じた。ゲアス受刑者はマフィアの殺し屋で、「密告者をことのほか嫌っていた」という。

「フレディは女性を虐待するような男が大嫌いだった。ホワイティは女性を殺した卑劣な男。おそらく、単純にそういうことだろう」。ゲアス受刑者を知る私立探偵のテッド・マクドナーはグローブ紙にこう語った。

バルジャーは2013年、ボストンのウィンターヒル・ギャングのドンを務めていた1973~1985年に起きた11件の殺人罪で有罪判決となった。1995年にFBIに逮捕される寸前のところで逃亡し、2011年まで所在が分からなくなっていた。だが犯罪仲間いわく、裏社会でバルジャーといえば、商売敵をアイスピックで刺したとか浮気を疑って交際中の女性を絞殺したとかいうことよりも、もっと質の悪い評判…つまり密告者であるともっぱらの噂だった。1970年代ごろからバルジャーはFBIの情報提供者として、マサチューセッツ州の組織犯罪、特にウィンターヒルの長年の商売敵であるニューイングランド・マフィアの情報を提供。その見返りとして、FBIはバルジャーの罪を黙認した。

2011年にゲアスと弟のタイが、2003年のアドルフォ・“ビッグ・アル”・ブルーノ氏殺害に関与したとして有罪判決を受け、終身刑を宣告された。ブルーノ氏は当時、マサチューセッツ州スプリングフィールドのジェノヴァ系マフィアを率いていたが、右腕のゲイリー・ウェスターマン氏とともに殺害された。ゲアス兄弟は、組織内でブルーノ氏と対立するアンソニー・アリロッタ氏の部下だった。ギリシャ系だった2人は決してイタリア系マフィアのメンバーとして「認められなかった」ものの、アリロッタ氏のお墨付きのもと、氏に代わって数々の犯罪行為を忠実に遂行していた。

「やつらに逆らえるものは誰もいない」と、ボストン・グローブ紙に語るマクドナー氏。「とくにフレディはやばい」

2件の殺人を命じ、自らも義理の兄弟ウェスターマン氏の殺害に関与したアリロッタ氏は、最終的にゲアス兄弟を当局に引き渡し、証人として証言台に立って注目を浴びた。親友フレディ・ゲアスの依頼を受けたブルーノ殺害の実行犯フランキー・ロシュ氏も、同じく裏切った。2007年、ロシュ氏はスプリングフィールド警察に自白。「金をもらってアル・ブルーノを殺した。雇い主はフレディ・ゲアスだ」と供述した。

さらにゲアスは、ブロンクスの犯罪組織を率いるフランク・ダバド氏殺害未遂で、逃走車を運転していた罪で訴追された。ダバド氏はジェノヴァ系犯罪組織のボス、アーティ・ニグロ氏とトニー・ベネットのコンサートチケットをめぐって諍いを起こした後、ニグロ氏から命を狙われていた。

ボストン・グローブ紙によれば、ゲアス受刑者はバルジャー殺害の関与を否定してはいないものの、共犯者の名前を明かすことは拒んでいるという。連邦当局および刑務所職員は、ゲアスが容疑者かどうか特定には至っていないが、彼をよく知る者にとって、彼の事件の関与と黙秘は驚くことではないようだ。

「彼は決して仲間を売るようなことはしないでしょう」というのは、2003年の裁判からゲアス受刑者の弁護人を務めるデヴィッド・フース氏。「裏切者には容赦しない男ですから」

Translated by Akiko Kato

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