連続殺人鬼の正体を暴いたDNAデータベースと家系図作成サイトの最強タッグ

2018年4月、法廷に姿を現した“ゴールデン・ステート・キラー”とされるジョセフ・ジェームズ・デアンジェロ(Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

1992年のクリスティ・ミラック殺人事件、ゴールデン・ステート・キラーと呼ばれるシリアルキラーによるカリフォルニア州の連続殺人事件など、未解決殺人事件の容疑者たちの逮捕が、今年に入って相次いでいる。その背景には、テクノロジーの進歩に伴い整備された新たなDNDデータベース活用と、DNA分析・家系図作成サイトの利用があった。

25年以上にわたって、クリスティ・ミラックの殺人事件はミステリーに包まれていた。気づけば、皆に愛されたペンシルベニアの教師の人生よりも長い時間が経ってしまった。ミラックは1992年のクリスマスの数日前、自宅で激しく殴られ絞め殺されているのが発見された。衣服も性的暴行を受けたように乱れていた。用意したプレゼントは教え子たちの手に渡ることはなかった。

残虐で常識を超えた犯罪は、社会を震撼させた。医療機器のセールスマンであるミラックの弟ヴィンスもその中のひとりで、ローリングストーン誌に対し「私は常に、姉は素晴らしい人間だったという事実を風化させないよう努力している」と語っている。「姉の教えた子どもたちもその親たちも彼女を尊敬していた。彼女は、短い人生を教えることに捧げた。それがあのように悲劇的な形で命を奪われてしまった」

「我々が経験した中で最も凶悪な犯罪だった。悪夢のような事件だ。我々は長い間、犯人を野放しにしてきた」と、ランカスターの地区検事長クレイグ・ステッドマンは言う。さらに通常では考えられないミステリーが解決を困難にしていた。ミラックが命を奪われなければならなかった理由を誰も特定できず、家族や友人たちも長い間、疑問に思っていた。

ところが2018年6月、地元で人気のDJレイモンド・“DJフリーズ”・ロウ(49)が、ミラックの悲惨な死に関係した容疑で逮捕された。逮捕は、DNAテクノロジーと、革新的な系譜学者チームの働きによるものだった。

最近注目の高まっているコールドケース(未解決事件)は、同教師の殺人事件だけではない。ここ数カ月の間に少なくとも8人の容疑者が逮捕されており、未解決事件担当部門は、さらなる事件解決へ向けて意気込んでいる。容疑者特定を可能にした特効薬は、いったい何だろうか? それは、娯楽の一つとして世界中で楽しまれている“家系図”だ。法執行当局は、法医系譜学者と協力して数十年が経過した容疑者のDNAからDNA鑑定を行い、結果を系図のデータベースへ反映させる方法を発見した。結果、節くれだった系図の木の枝に実がついていくのだ。

Translated by Smokva Tokyo

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