米議会襲撃、白人至上主義者がヴァイキングと北欧神話に傾倒する理由

2021年1月6日、ワシントンDCのアメリカ国会議事堂で抗議活動を行うドナルド・トランプ大統領の支持者 そのうちの1人ジェイク・アンジェリは、顔にペイントを施して角のついた帽子姿がトレードマークのQアノン支持者。(Photo by Saul Loeb/AFP/Getty Images)



ネオペイガンのシンボルは、ヴァイキングの超男性的な美意識を表現している

当然ながら、実際のペイガンたちは、白人至上主義者が自分たちの宗教的・文化的シンボルを乗っ取り、憎悪のシンボル捻じ曲げるようすに恐れおののいている。『Culture Warlords(原題)』という新著でこのテーマを掘り下げたタラ・ラヴィン氏によれば、ネオナチのヴァイキング嗜好も、元をたどれば伝統的なヨーロッパの男性像と白人像に対する執着心にゆきつくという。「ネオペイガンのシンボルは、ヴァイキングの超男性的な美意識を表現しています」と、彼女はメールで説明してくれた。「ですが同時に、白人至上主義者のイデオロギーを、いわゆる時代を超えた神話に根付かせたいという願望も見て取れます。時代錯誤な、歴史的裏付けのない“完璧な”白人像に立ち戻りたいという願望です。そうやって自分たちの暴力行為を理想化された過去や、あらゆる形態のナショナリズム、とりわけ白人ナショナリズムと紐づけているのです」

こうした北欧神話のマークは過去にも恐ろしい人々に借用されてきた。有名なところでは、初期のナチスが北欧神話やゲルマン人のルーン文字を多用していたし(稲妻の形をした「SS」はとくに有名)、北欧抵抗運動、オ-ディンの戦士たち、国家社会主義運動といったネオナチグループも、ルーン文字オーザルをロゴに採用している。アーリアン・ブラザーフッド(刑務所内を本拠とするギャング)のメンバーは、鉤十字やケルト十字と並んでルーン文字やヴァイキングのシンボルを好んでタトゥーしている。オディニズム、またはワタニズムと呼ばれるいかにも白人至上主義的なネオペイガンの一派は、アサトル・フォーク・アセンブリーによって広く知られるようになり(創始者のスティーヴン・マクナレン氏は、死者を出したシャーロッツヴィルの極右連合集会にも参加していた)、なおも拡散を続け、各種ファシスト思想の集団と交配を重ねている(悪名高き白人至上主義者で、殺人犯のデヴィッド・レイン氏もファンの1人)。

ネオナチ系ブラックメタルシーンにはルーン文字があふれかえっている(私が最初にヴァルクヌートを知ったのも、ネオナチ系ブラックメタルバンドWalknutに出くわしたのがきっかけだった)。鉤十字にしても同じことが言える。古代宗教的なシンボルが、ナチスによって暴力的な意味合いを帯び、永遠に汚されてしまった。「鉤十字復古」運動なるものも存在している。自分たちの聖なるシンボルが盗まれ、ゆがめられてしまうのを目の当たりにする純粋無垢な人々には申し訳ないが、もはや手がつけられない状態になってしまったケースもある。

Translated by Akiko Kato

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