『エイリアン』撮影中のシガニー・ウィーバー(Photo by Sunset Boulevard/Corbis via Getty Images)



第20位:『スーパーマン』(1978年)


「ダークな」スーパーヒーローが人気を博している昨今、DCコミックスの原作を忠実に描くというリチャード・ドナーの決断は、後から振り返ればいい意味で安全パイだった。だが21世紀の兄弟たち同様、この作品も決してB級映画ではない――総製作費5500万ドルの記念すべきシリーズ第1作は、オスカー俳優マーロン・ブランドとジーン・ハックマンを起用し、『ゴッドファーザー』のマリオ・プーゾを脚本に迎え、空飛ぶ人間の存在を観客に信じ込ませた。クリストファー・リーヴのいかにも映画スター然としたカリスマに代表されるように、年季の入ったキレのいい活力とスクリーン一杯に広がるスペクタクルが満載だ。尤も、マーゴット・キッダー演じるウーマン・リブ時代のルイス・レーンのおかげでテンポよくストーリーが展開しているからではあるが。ハックマンは憎たらしいほど粋な悪役レックス・ルーサー役で主役を食う名演技を見せたが、そんな彼ですら、グランド・セントラル駅を超悪党のプール付き秘密基地に変えた精巧なセットの前では霞んで見える。EH


第19位:『ディーモン/悪魔の受精卵』(1976年)


神が宇宙人かもしれない、と考えたのはB級映画の巨匠ラリー・コーエンが最初ではないが、地球外生命体が人の体を乗っ取って大量殺戮を始める、という筋書きを思いついたのは彼が最初だ。一般市民が道路を横断中にスナイパーの餌食となる様を描いた『ディーモン/悪魔の受精卵』は、70年代中期のマンハッタンの殺伐感をまさに象徴している。トニー・ロビアンコ演じる鼻っ柱の強い探偵は、とある事件で人間性の本質を探るうちに、自らの信念が試され、衝撃の事実を知ることになる。高尚な哲学と、血生臭い犯罪スリラーを融合したこの作品は、時に2本の映画を同時に見ているような気分にさせられる――後味の悪い、時に困惑をさせられる、そして確実に忘れられない体験だ。SA


第18位:『THX-1138』(1971年)


後年ジョージ・ルーカスが銀河の遥か彼方で展開するどの作品にも匹敵するほど、視覚的にも音響的にも秀逸。彼が描いた悪夢のような未来の極右的社会は、セックス、ドラッグ、脳死テレビ、汚職だらけの政府、反乱の必要性と不毛さを全て一緒くたにした、70年代アメリカン・ニューシネマ・ルネサンスの申し子だ。ロバート・デュヴァルは『1984』のウィンストン・スミスのごとく、物静かに存在感を放つ。これは単なる映画ではない。ジョージ・ルーカスの作品が30年代のTVシリーズから、60年代の知的なSFへ方向転換する、別世界への出発地点だ。STC


第17位:『地球爆破作戦』(1970年)


『ターミネーター』が生まれる14年前(そしてHALがポッドのドアを開けることを拒んでからわずか2年後)、スーパーコンピューターが世界を支配して人類壊滅を図る、という知られざる傑作が存在した。堅物エンジニアのチャールズ・A・フォービン博士はアメリカ国防総省を説得して、自ら開発した「コロッサス」にアメリカの核兵器庫を管理させる。すると恐ろしいことに、「コロッサス」は創造主を差し置いて、ソ連の電子頭脳と勝手に交信し始める。科学の思い上がりがストーリーの核。人類最高の天才集団の代表格として、博士は実に優れたマシンを作るのだが、そのマシンは賢いがゆえに、人類は博士のような傲慢野郎ばかりだと気づいてしまう――平和の名の下に、全員粛清するべきだと。NM


第16位:『ストーカー』(1979年)


うらぶれた雇われガイドが2人の知識人を立ち入り禁止の、放射能に汚染されたと思しきロシア領地、通称「ゾーン」へ案内する。2人の男は1日かけて、草木が生い茂る廃墟の中を彷徨い歩き、ある部屋へ辿り着く。その部屋には、人間の胸の奥底にある願いを叶えてくれる力があると信じられていた。アンドレイ・タルコフスキーのカメラワークが流れる小川や頭上を飛び立つ鳥、人気のない家に木霊する電話の音を、誰もがひれ伏す神の所業に変えるように、訪問者の畏怖で室内を魔法で満たす。EH


第15位:『少年と犬』(1975年)


通貨の代わりに缶詰めが流通し、暴力が共通言語としてまかり通る、焦土と化したこの世の地獄では、最初に沸き起こるのは性欲ではないだろう。だが、まさにそれがこの映画――ハーラン・エリスンの小説を元にした一風変わった低予算風刺映作品のポイントだ。ヴィック(『マイアミ・バイス』で有名になる前のドン・ジョンソン)は常に性欲旺盛な10代の放浪者で、愛犬のブラッドとテレパシーで意思疎通が出来る。とある地下組織が子孫繁栄のために精子提供者を探していると聞き、ヴィックは喜んで協力を申し出る。エリソンの原作は、この作品以降も数々の映画で効果的に使われてもよかったはずだが、胸糞の悪くなるような風刺をこの1本に凝縮したことで、名作カルト映画としての地位を確立する以上のことを成し遂げた。JN


第14位:『マッドマックス』(1979年)


オーストラリアン西部劇にして70年代自警団スリラー、さらにアクション満載の世紀末ロードムービーでもある。映画史に金字塔を打ち立てたオーストラリア発エクスプロイテーション映画の舞台は、戦争で荒廃した未来の地球。荒くれ者の暴走族からわずかに残された文明社会を守るのは、“マッドマックス”ことロカタンスキーのような警官だけ。ディストピアを情け無用のスタントカーレースで描いたジョージ・ミラーの作品で、メル・ギブソンは世界的スターの仲間入りを果たしたが、オーストラリア訛りの英語をアメリカ英語に吹き替えたひどいバージョンが公開されたアメリカでは、当初見向きもされなかった。だが数年後、秀逸な続編『マッドマックス2』が公開される頃には、第1作も正真正銘の名作カルト映画として認められていた。CC


第13位:『アンドロメダ…』(1971年)


この20年、幾度となく映画館に蔓延したバイオハザード・スリラーの先駆け的作品。恐ろしい宇宙病原体をテーマにしたマイケル・クライトンの小説をロバート・ワイズ監督が映画化したこの作品には、SFらしい低俗さと幻想の代わりに、マニュアル的なシリアスさが漂っている。墜落した人工衛星が持ち帰った謎の胞子――コードネーム:アンドロメダ――により人類が滅亡の危機に立たされていると知った科学者らは、何としてでもこの致死的な病原体を封じ込めようとする。真っ白な無菌空間への憧れと、「サイエンス・フィクション」の「サイエンス」の部分へのこだわりが非常にいい仕事をしている。細菌恐怖症の方々は、覚悟して見るべし。DF


第12位:『ローラーボール』(1975年)


ノーマン・ジュイソンが描いた近未来エクストリームスポーツには、政治陰謀スリラーにマクルーハンかぶれのメディア風刺、超暴力的な描写と当時流行りのスポーツブームがひとまとめにされ、さらにロバート・アルトマン顔負けのズームショットがふんだんに取り入れられた。その上ジェームズ・カーンが、ローラーボール史上最高のプレイヤーを演じている――ローラーダービーとモトクロスとフットボールとボクシングを組み合わせた、超大人気の格闘スポーツだ。この歪みきった未来では企業支配が国民国家に取って代わり、会社の重役たちはカーン演じるチャンピオンのようなボーラーが自分たちの人気度を悟らないよう、ゲームに裏工作する。世紀末的なデスマッチで激しさを増していくスケートリンク上のアクションは、今見ても扇動的な残虐さだ。EH


第11位:『ウエストワールド』(1973年)


従来のバカンスに飽きた未来の裕福な観光客のために作られた、3つの大人向けテーマパーク。そこでは等身大のロボットが、どんなニーズにも答えてくれる。だが不具合を起こしたアンドロイドたちは来場客を殺戮し始め、最後にはユル・ブリンナー演じる無愛想な喧嘩早いガンマンと対峙する。マイケル・クライトンの1973年の映画は、コンピューターウイルスの登場を予見し、後年の映画で定番となるCGIを最初に活用した作品だ。今見ると時代遅れなところもあるものの、『ロボコップ』から『ブレードランナー』まで、あらゆる映画に登場する悪徳企業の存在に目を付けた映画第1号として語り継がれている。殺人カウボーイロボットという存在も、未来永劫SFオタクの憧れであり続けるだろう。JN

Translated by Akiko Kato

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