自己啓発団体を隠れ蓑にセックスカルトと化した「主人」と「奴隷」の異常な関係

ラニエールは「性器のクローズアップ写真」を好んでいた

グループのダニーの扱いに関するザルツマンの説明は、彼女の証言の中でもっとも感情が現れた場面だった。「今回の事件で私がした行為、犯した罪の中でも、これが最悪の出来事です」と言って、彼女はしゃくりあげた。にもかかわらず、彼女はラニエール被告の命令に従い続け、書類を渡そうとしなかった。「責任ある親になるためならなんでもする」という自らの意思を、被告に見せたかったのだ。

ラニエール被告は何年もザルツマンとの間に子供を作る可能性をちらつかせ、「1年から5年以内」という期限を設定したこともあった。だがバレーボールの試合の後に行われた祝賀会で、ザルツマンが他の男性に抱きつき「倫理違反」を犯したため、被告はこの約束を反故にした。ラニエール被告は憤慨し、自分をここまで「ないがしろにする」人間と子供を作りたいとは思えない、と言った。

ザルツマンはこれに対し、自分の行動が終始不適切だったと反省する7ページにも及ぶ手紙をラニエール被告に送った。「私が与えた心の傷のせいで、私たち2人がともに描いた人生設計を台無しにしてしまいました」とザルツマンは法廷で手紙の文面を読み上げた。彼女は手紙の中で、被告を侮辱したこと、グループのリーダーとしての評判を貶めたこと、そして「まだ存在してないけれども」生まれてくるはずだった子供の評判をも傷つけたことを謝罪した。だがラニエール被告は一切意に介さず、長年関係を持った別の女性との間に子供ができる予定だと明かして、ザルツマンにとどめを刺した。

「私はとても動揺しました。とても傷つきましたし、訳が分かりませんでした」にもかかわらず、彼女は集団に残った。「拠りどころになるものは何もありませんでした。愛する人も、子供も、何もかも」

2017年、ザルツマンはさらにラニエール被告の魔の手に堕ちていく。ネクセウムのメンバーでメキシコの裕福なメディア王の娘ローザ・ラウラ・フンコから、女性だけの秘密組織に誘われたのだ。ザルツマンは知られたくない秘密や卑猥な全裸写真を「担保」として提出した後、本人が言うところの一軍「奴隷」になった。つまり、フンコ、マック、クラインの他に4人の女性らとともに、DOSの中でもラニエール直属の側近メンバーとなったのだ。ザルツマンの証言によると、DOSに加わってからほどなく、フンコ以外の全員がラニエール被告と性的関係にあった、または現在関係をもっていることが判明した。

ザルツマンによると、グループは週3回ミーティングを開いていたが、メンバーは毎回ミーティングを始める前に全裸で集合写真を撮ってラニエール被告に送らなくてはならなかった。「全員同じ姿でいるよう求められました。同じ表情で、全裸で」とザルツマンは証言した。被告は女性たちに、身体に押した焼印がはっきり見えるよう、かつ全員が「うれしそうな顔」をするように命じた。もし被告が満足しない場合は、撮り直しを命じられることもあった。「足の開き方が十分でない場合は、もっと開かなくてはいけませんでした」とザルツマンは言い、彼が異様に「性器のクローズアップ写真」を好んでいたことをメンバー全員が知っていたと付け加えた。

Translated by Akiko Kato

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