「あいつを壊す」と語ったカルト集団指導者、女性差別の実態を元側近が証言

NYのブルックリン連邦裁判所にて、公判1週目のキース・ラニエール被告。(Photo by Elizabeth Williams/REX/Shutterstock)

女性メンバーに性行為を強要していた自己啓発団体「ネクセウム」の指導者、キース・ラニエール被告の裁判で元側近が証言した。ラニエール被告は団体内に男性だけのグループを結成し、これを利用して「恐ろしいほど屈辱的な」方法で女性たちを貶めていたという。

元側近の名は、同団体の専属カメラマンとして10年以上在籍したマーク・ヴィンセント氏。ヴィンセント氏がネクセウムと関わるようになったのは、バーバラ・ボーシェイ氏(2009年に退会した元メンバー)と共同創始者のナンシー・ザルツマン(恐喝共謀罪1件で有罪を認めた)の2人からシンポジウムに誘われたのがきっかけだった。ヴィンセント氏は、創始者のラニエール被告が「人間の脳をハッキングする」方法を開発したという2人の意見に関心を持ち団体に加入。2009年には理事にまで昇りつめ、退会するまでの数年間ラニエール氏の腹心として仕えた。

またヴィンセント氏はネクセウム傘下に作られた男性メンバー対象の友愛会的な集団「Society of Protectors(SOP)」の幹部メンバーだった。2011年に結成されたSOPは、ネクセウム内の女性限定グループ「JNESS」の男性版として発足。受講料5000ドルで8日間のワークショップを実施していた。ヴィンセント氏の証言によれば、グループの目的は男性メンバーの「人格形成」で、「少年から大人の男へ」変わる手ほどきをしていたという。

SOPメンバーは「出動訓練」への参加が義務付けられた。グループのリーダーから「待機」というショートメッセージが送られると、メンバーは全員即座に返信しなくてはならない。24時間365日、メンバーを常に警戒させることで、例えばあるメンバーの行方が分からないといったような緊急事態に備えさせるのが出動訓練の目的だった。もっともヴィンセント氏が知る限りでは、実際にそのような事態が起きたのは1度だけだった。「誰も置き去りにしない、という考えによるものでした」

さらにSOPのメンバーには、新規会員の勧誘などといった各自の目標達成のインセンティブとして「担保」の提供が求められた。ヴィンセント氏本人は1500ドルを担保として支払ったと言う。「やると誓ったことをやり遂げれば返金してもらえますが、できなかったら金は返ってきません」

Translated by Akiko Kato

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