絶滅寸前の危機、ギターソロはもはや過去の遺物なのか?

Dave Simpson/WireImage, Amy Harris/Invision/AP/REX/Shutterstock

特大ヒットしたポップソングも含め、かつてあらゆる曲に登場したギターソロは、今や絶滅寸前となっている。その伝統芸がメインストリームに返り咲く日は来るのだろうか?

ポップR&B界の急先鋒カリードの新作、『フリー・スピリット』に収録された眩いディスコポップ「アウタ・マイ・ヘッド」では、冒頭から約2分のあたりで奇妙で異質なサウンドが登場する。うねるように音程を上下させるそれは約15秒間にわたってメロディを奏でた後、ゆっくりとフェードアウトしていく。

これはもしや…間違いない、ギターソロだ!

ジョン・メイヤーによるこのソロは、ジャンルを軽々と飛び越えるカリードの柔軟なスタンスを物語っている。しかし2019年において、ロックンロールの象徴であるギターソロという表現手法は、もはや絶滅寸前と言っていい。イマジン・ドラゴンズ、The 1975、トゥエンティ・ワン・パイロッツ等、現代のメインストリームのロックバンド(あるいはそれに準ずるもの)は、ギターよりも弾力性に富んだビートやプログラミングを多用し、ギターソロらしきものは全くと言っていいほど耳にしない。また今日のポップやヒップホップ、あるいはR&Bにおいて、ラップ・ロック、90年代のオルタナロック、エモ等の影響を感じさせるものはしばしば見かけるが、ギターが使用されているものは稀だ。ビリー・アイリッシュの「バッド・ガイ」等、ポップスの曲にブレイク部が挟まれる場合、そこで耳にするのは大抵シンセサイザーやキーボードの音色だ。

近年でギターヒーローが脚光を浴びる場といえば、音楽よりもむしろ映画が連想される。『ボヘミアン・ラプソディ』において、同名曲のギターソロを弾くにあたって悪戦苦闘していたブライアン・メイ役のグウィリム・リーに対し、フレディ・マーキュリーを演じたラミ・マレックは「自分を投影させろ」とアドバイスしたという。アンプの前に陣取った彼がそのギターソロを完璧に再現する姿は、もはやロックそのものよりも古めかしく、まるで古代エジプトの儀式を目にしているかのように思えてくる。

『ボヘミアン・ラプソディ』とは異なり、『アリー/ スター誕生』はコンテンポラリーな音楽業界が舞台となっているが、ブラッドリー・クーパーが演じるジャクソン・メインにはクイーンが活躍した70年代の方がよく似合う。シリアスでワイルドなメインは往年のロックスターさながらであり、レディ・ガガが演じた音楽と容姿もスタイリッシュなアリーは、彼のそういった印象を一層際立たせている。彼のバンドが野外フェスティバルでメタル風のロック「ブラック・アイズ」を演奏するシーンでは、メインというキャラクターの時代遅れ感が浮き彫りになる。悦に入ったメインは頭を垂れて、汗を滴らせながら怒りに満ちたギターソロを繰り出す。弦を引きちぎらんばかりの豪快なパフォーマンスは彼の心の叫びを表現しているが、ギターソロを弾く姿はその人物のダメっぷりを象徴している感もある。

Translated by Masaaki Yoshida

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