絶滅寸前の危機、ギターソロはもはや過去の遺物なのか?

こういった具体例を挙げるまでもなく、ギターソロという伝統芸が文化的にも音楽的にも時代遅れとなってしまったことは否定できない。なぜならギターソロには、(主に)白人の男性のイメージが定着してしまっているからだ。その一方で今年のグラミーでは、ギターヒーローとして輝きを放った2人の女性が誇らしくソロを弾いてみせた。アニー・クラーク(セイント・ヴィンセント)とR&BシンガーのH.E.Rはそれぞれのパフォーマンスにおいて、フェミニンでもマッチョでもない、簡潔でセンスの良いソロを聴かせた。

クラークのアプローチはやや控えめでありながら、テクスチャーへのこだわりを感じさせる。リードのラインや時折登場するソロをその他の楽器と調和させる彼女のスタイルは、ロバート・フリップやマーク・リボットのニュアンスに満ちたプレイを思わせる。「ギターは死んだっていうセリフは、数年おきに耳にするわね」彼女は昨年そう語っている。「でもそれは間違ってる。ギターは常に生まれ変わり続けてるし、そのサイクルはこれからも続いていくの。ギターを耳にしなくなる日は永遠に来ないわ」ロックそのものがそうであるように、ギターソロが以前のような脚光を浴びることはもうないのかもしれない。しかしクラークのようなアーティストがいる限り、ギターが生きたまま葬られてしまうことは決してないだろう。

Translated by Masaaki Yoshida

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