自己啓発団体「ネクセウム」指導者の裁判で明らかになった究極の性支配

「ネクセウム」の指導者、キース・ラニエール被告の裁判で法廷入りする検察官(Photo by Timothy A. Clary/AFP/Getty Images)

アメリカ時間7日、自己啓発団体を隠れ蓑に性行為を強要していた「ネクセウム」の指導者のキース・ラニエール被告の裁判がスタートした。恐喝罪、強制労働共謀罪、通信詐欺罪、性的目的による人身売買罪など7件の刑事犯罪で起訴されている被告は、極刑の終身刑が求刑されている。『ヤング・スーパーマン』の女優アリソン・マック被告を含む5人の共同被告人は、全員すでに有罪を認めた。

裁判の初日は慌ただしく、いくぶん和気あいあいとした雰囲気でスタートした。セキュリティ検査に並ぶ列では、傍聴人が互いにむつまじく挨拶を交わす姿も見られた。あまりにも大勢の人々が詰めかけたため、見物人や報道陣の大半は別室に案内され、複数のモニターで公判を見守ることとなった。

検察が描いたラニエール被告の人物像は、昨年の逮捕以来メディアで報道されているものとほぼ同じだった。自らをアルバート・アインシュタインやマハトマ・ガンジーに例え、突出したIQの持ち主だと語る一方、多くの女性メンバーを手懐けて、自らの性的欲求を満たした詐欺師だと描写した。

「これは組織犯罪です。そしてキース・ラニエールが首謀者でした」。タニヤ・ハジャール検事補は、組織が「ピラミッド型の構造」にのっとって運営されていて、ラニエール被告がその頂点ですべての権力を掌握していたと述べた。ラニエール被告がいかにして弟子たちをたぶらかし、彼らの信頼を得たかを語り、「その信頼を利用して、彼が望むもの、つまりセックス、権力、支配力を手に入れたのです」と述べた。

陪審はこのあとの裁判で、3人の娘と1人の息子を持つメキシコ人一家の証言に耳を傾けることになるだろう、とハジャール検事補は言った。ラニエール被告が4人の子どもたちの家庭教師を申し出たため、一家はネクセウムの本拠地であるニューヨーク州に引っ越した。「代わりに彼は、三姉妹と性的関係を持ちました。そしてその目的を果たすために、家族同士、姉妹同士を仲たがいさせたのです」。検事補は、このあと姉妹の一人が証人として召喚され、ラニエール被告が言うところの「倫理違反」、つまり自分以外の男性と恋仲になることを犯した罰で2年近く監禁されていたことを証言するだろう、と述べた。

小部屋にはマットレスと紙とペンの他には何もなく、部屋の外には監視カメラが設置されていた。ハジャール検事補によると、少女は紙に何度もラニエール被告への謝罪文を書いてドアの下から滑らせたが、被告はネクセウムの従業員に命じて、身分証明書を持たせずに少女をメキシコ国境まで車で移送させたと言う。

Translated by Akiko Kato

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