【密着ルポ】現代のロックスター的存在、トラヴィス・スコットの日常

トラヴィス・スコット:2018年11月20日、ブルックリンにて撮影(Photo by Dana Scruggs for Rolling Stone, Hair by Yazmin Adams, Grooming by Jenn Hanching, Styling by Renelou Padora, Pants by Undercover)

2018年、最も活躍したヒップホップ界のスター、トラヴィス・スコット。カイリー・ジェンナーとの車内ピザデート、ヒューストン市長からのラブコール、祖母とのひととき、自閉症の兄のことーー。故郷ヒューストンの街をスコットのランボルギーニとともに巡る。

プライベートジェットでのフライトを控えたカイリー・ジェンナーと会うことになっていたトラヴィス・スコットは、約束の時間に遅れそうで焦っていた。アクセルペダルを踏み込むと、愛車のランボルギーニSUVのスピードメーターは時速80マイルを指し、95をまわり、やがてヒューストン・ハイウェイの制限速度のちょうど倍である時速110マイルに達した。

当日は土砂降りで、渋滞につかまった前方のランドローバーは速度を落とし始めたが、左手でハンドルを握りつつ右手で携帯の地図アプリを操作しているスコットは、ブレーキをかけようとしない。200フィート先にあったランドローバーのリアバンパーは75フィート先に迫り、やがてその車間はわずか25フィートに達した。アクセルペダルからは足を離したものの、どういうわけか、スコットはブレーキを踏もうとしない。

感謝祭を目前に控えた日曜日、現在26歳のスコットは上機嫌だった。ヒューストンで生まれ育った彼が長年夢見ていた企画、アストロワールド・フェスティバルが大きな成功を収めたからだ。前日に開催された同イベントの舞台となったのは、彼が13歳の時に惜しまれつつ閉園した遊園地、アストロワールドの跡地だった。「アストロワールドが閉園した時、心にぽっかりと穴が空いたように感じた」。彼はそう話す。そのトリビュートの意味を込め、彼は観覧車とドロップタワー、そして回転ブランコをレンタルした。敷地内に設けられた2つのステージには、彼のヒットメイカー仲間(ヤング・サグ、ポスト・マローン)、幼い頃からの憧れだった地元のレジェンド(ブン・B、リル・フリップ)、そして彼の影響下にある若手アーティスト(シェック・ウェス、スモークパープ)等が登場した。チケットは150ドル〜650ドル(+手数料104.26ドル)という高額だったにもかかわらず、同イベントは4万人を動員した。「グッズも完売さ」。スコットはそう話す。



会場に集まったキッズたちは絶叫し、手足をバタつかせ、モッシュピットで鼻血を流し、そして元々はスコットが自身の頭蓋骨の各部を投影する予定だったという「プラネタリウム」での幻惑的なプロジェクションを楽しんだ。バックステージでは、超タイトな黒のジャンプスーツに身を包んだジェンナーが、スコットとの間に生まれたばかりの娘、Stormiを抱きかかえて歩き回っていた。

レイ・シュリマーのスウェイ・リーは、ブラックライトに照らされたテント内に幼児ほどの大きさのシャンペンのボトルを持ち込んでいた。スコットのマネージャー曰く、当日ヒューストン・ロケッツとサクラメント・キングスの試合が行われていたトヨタセンターにいたジェームズ・ハーデン(ロケッツの所属選手)から連絡があり、彼がライブに間に合うようスコットの出演時間を遅らせられないかと打診されたという。その要望は聞き入れられなかったが、当日ロケッツは勝利を収め、試合終了後に駆け付けたハーデンは「シッコ・モード」を生で聴くことができて満足だったという。

Translated by Masaaki Yoshida

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