【密着ルポ】現代のロックスター的存在、トラヴィス・スコットの日常

トラヴィス・スコット:2018年11月20日、ブルックリンにて撮影(Photo by Dana Scruggs for Rolling Stone, Hair by Yazmin Adams, Grooming by Jenn Hanching, Styling by Renelou Padora, Pants by Undercover)



ヒューストン市公認の「アストロワールド・デイ」

キャリア史上最大のヒットとなった「シッコ・モード」が、一般的なシングル曲とはかけ離れたものでありながら、何週間にもわたって第2位にとどまった(12月上旬には1位となった)ことは快挙といえる。同曲にはコーラスやフックがなく、あえて唐突にしているトランジションによって複数のビートが結び付けられている。冒頭のドレイクのヴァースは60秒が過ぎたところで突如カットされ、直後にそのビートは元の軌道に戻る。

同曲を収録した3rdアルバム『アストロワールド』はプラチナムを記録し、スコットはドレイク以降のヒップホップ界における最大のスターとなった。ノスタルジックで、絶望と快楽が調合されたような同作は、きらびやかな幻想をいずれ消えゆくと知りながら追いかけるスリルを描く。彼の音楽が若いリスナーたちに支持されているのは、その世界観が現在のアメリカに漂うムードと重なるからだろう(スコットが『エレンの部屋』に出演した際に、エレン・デジェネレスは彼を「若者たちの代弁者」と形容した)。


トラヴィス・スコットが表紙を飾ったローリングストーン誌1323号の表紙

パリ発の高級ブランドを身につけた愛犬(人の言葉を理解するという)について歌った21サヴェージ、幽玄なハーモニカソロを披露したスティーヴィー・ワンダー、スモーキーなギターを聴かせるテーム・インパラのケヴィン・パーカー等、同作には豪華ゲストが多数参加している。スコットのドラッギーで低音の効いた、デジタルに歪んだフロウが異なる才能を結びつけた本作は、リスナーをグレースケールの万華鏡を思わせるサイケデリックなトリップへと誘う。



トラヴィス・スコットことジャック・ウェブスターは現在、多くの時間をロサンゼルスで過ごしているが、『アストロワールド』は故郷へ寄せる思いが生んだアルバムだ。そして今日、彼の功績が正式な形で認められることになった。ヒューストン市の市長シルベスター・ターナーは、11月18日を“アストロワールド・デイ”として定めることを決定し、シティホールで開催されるその制定式にスコットを招待した。

ターナーの部下によると、市長は午後0時30分開始予定のセレモニーでスコットに会うために、貿易関連の会合で訪れていたニューデリーおよびムンバイから飛行機で戻って来たという。しかし午後0時35分の時点で、スコットが車で45分ほど離れた郊外の町にある自宅にいると知らされると、ターナー市長は露骨に顔をしかめた。それでもスコットが到着するやいなや、市長は笑顔で彼とハグを交わした。招待されていた子どもたちから写真攻めにあっていたスコットは、その一人ひとりに「大きくなったら、好きなことを全部形にするんだ」と語りかけていた。延々と続く写真撮影を終え、彼が警察にエスコートされながら愛車のランボルギーニに乗り込んだ直後、ジェンナーから電話があった。彼に居場所を尋ねているようだ。

Translated by Masaaki Yoshida

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