『ブラックスター』のキーボーディストが語る制作裏話

Photo by Deneka Peniston


ータイトルトラックはもともと、全く別の2つの曲だったとされています。初期段階ではどのような曲だったのですか?

僕はタイトルトラック以外はまだ完成品を聴いていないんだけど、タイトルトラックはスタジオでやっていた感じとそんなに違っていない。例外はストリングスがオーヴァー・ダビングされていたことで、これは後で僕抜きでやったんじゃないかと思う。デモ音源からそんなに乖離していないよ。音質は変わっているよ。ドラムはマークっぽくなっているし、他のパートもそうなんだけど、要素は全部最初からあった。



ー『ブラックスター』はもともと2つの別の曲で、それを後で1つの曲にしたのだとトニーから聞いたのですよ。あなたの記憶でもそうですか?

ボウイは最初から1曲だと思っていたんじゃないのかなあ。全く別の2曲ということではなかった。ボウイはメールで、この2つのパートをフリーフォームでつなぐんだと書いていたんだ。うん、そういうことだよ。だから、別の曲というよりは、2パートの組曲なんだ。

ーフリーフォームのつなぎでは、自由に演奏できたのではないですか?

そうだった。それ以外にも何か所か、「ここはジャズを演奏しろ。アドリブで」とだけ書かれている部分があったよ。

ーこの音楽の特徴を説明するとどういうことになりますか。ジャズにヒップホップのドラムサウンドと、ロックのギターサウンドを足した、という感じでしょうか。1つのジャンルに押し込めることは難しそうです。

スタジオの雰囲気は、「これはロックンロールだ!」というものだった。僕はそんな印象を持っている。エネルギーにあふれていて、権威への反逆心が感じられて、とても激しい音楽だ。それって、ロックだろ。僕はそう思うな。僕はジャンルというのは、技術的なことより、その音楽の持つエネルギーや感覚のことだと思っている。ジャズ・アーティストの中にも同じようなエネルギーを持っている人はいる。一定レベルの芸術性を越えたところでは、アーティストとしての熱があれば、ジャンルというのは完全に克服されてしまうものだよ。

ーボウイは実際に生歌を歌ったのですか?

そうなんだ。僕が知っている限りでは、全部やり直しているはずだけどね。オリジナルのどこを残したのかは分からない。僕の耳には全部素晴らしいと聞こえたけれど。

ーここ10年で実際にボウイが歌うところを見た人はとても少ないはずです。実際に目撃できて良かったですね。

本当に光栄だと思っているし、僕らは完全にぶっ飛んだんだよ。ボウイは超完全主義者だね。ウォームアップもなしで、スタジオに入ってきてビックリするようなヴォーカルを聞かせたかと思えば、外に出て行って「全部やり直すぞ。さっきのはただのスクラッチ・ヴォーカルだ」とかいうんだよ。ええっ、って思ったよ。

Translation by Kuniaki Takahashi

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