トーンズ・アンド・アイが語る、PiNKからの影響、「傷つきやすさ」を歌う理由

「ストリート・ライブは私の人生の中で大好きな一部だった」

ーちなみに、ライブの衣装がいつもカッコ良いですよね。ジャケットとパンツの時もあれば、スポーティな時もあって、スタイルのバリエーションの幅がスゴく広い印象があります。衣装はいつもどのように選んでいるのですか?

最近はけっこうスパンコールとかアクセサリーを付けるようになったけれど、以前の私はもっと控えめというか、上手くハマっていない感じがして。それが今では何でも着るようになったし、カラフルなのも楽しめるようになった。でも良い質問をしてくれたと思うわ。自分でもどの色の服を着たらいいのかわからないから。だからどの色を選んだらいいのか手伝ってほしい(笑)。

ー特に好きな色とかあるんですか?

ピンクとオレンジが大好きだけど、特にこだわっていないし、その時の気分にもよるかな。

ー今回の来日は2公演あるので、全く違う衣装にするのはどうでしょう?

確かに。それにいつも2色の衣装を用意しているから。ベーシックな色と明るい色の場合もあるし、2色とも明るい色の場合もある。ツアー中は洗濯が終わってきれいな方を選んだりもするんだけど(笑)。

ー帽子とサングラスも良いものをたくさん持っていますよね。

帽子とサングラスのコレクションはたくさんあると思う。私が死ぬ時は、大親友の一人にコレクションを譲ることを遺書に書こうと思っていて。その友達はよく私のサングラスをかけるんだけど、不思議としょっちゅう壊すんだよね(笑)。

ー3月にやったライブのセットリストを見たのですが、アルファヴィルの「Forever Young」、リアーナ「Rihanna」のカバーをやりましたね。

さっきも話したように、カバーをやるとたくさんの人が盛り上がってくれるから。同じ理由で、今は多くの人がYouTubeでカバー曲を披露しているし、好きな音楽を通じて好きな人たち同士でつながることもできる。日本でもカバーはやるつもり。

ーカバーと言えば、メン・アット・ワークの「Down Under」のカバーを出しましたよね。オーストラリアではクラシック・ソングだと思いますが、あの曲を選んだきっかけは?

オーストラリアのTV局から、オリンピックのCM用にあの曲をカバーしてほしいと依頼されたから。それでカバーをやってみたら、とても気に入ってくれて、リリースをしたいと言ってくれて。私も「もちろん」と答えて、それでリリースとなったの。



ーセットリストの最後に、「Dance Monkey」「Fly Away」と続けてやることが多いですが、この2曲はあなたにとっては重要な曲ですよね。

間違いなくそうね。「Dance Monkey」は誰もが知っている曲だから、いつだって最後の方にやると盛り上がる。それでも「Fly Away」を一番最後にやるのは、この曲はライブでやると祝福の曲になるし、美しいエンディングになるから。それでこの2曲を最後にテーマ曲のようにして入れている。

ー「Dance Monkey」はSpotifyで再生30億回を超えて、Spotify史上最も多く再生された女性アーティストの曲となって、記録を塗り替えたんですよね。

今でも信じられないんだけど。オーストラリアに限らず、世界中で最も多く再生されたわけだから、これをオーストラリア人として達成できたことはとてもうれしい。



ーこの曲はストリート・ライブをやっていた時に受けたインスピレーションから生まれた曲なんですよね。

私は普通にライブをやるずっと前からストリート・ライブをやっていて。ライブだと1時間とか1時間半で、たまにもう少し長くなる程度だけど、ストリート・ライブは6時間ぐらい続けてやっていた。途中で休みたくなるんだけど、観客からすると休んでほしくないと思っていて。これって良いことに聞こえるけれど、観客の方は酔っ払っていたり、感じが悪かったり、収拾がつかなくなっていたりする。今の私はいろいろなところでライブをやっているけれど、ストリート・ライブは私の人生の中で大好きな一部だった。通りを歩いている人が立ち止まって私の音楽に耳を傾けてくれるのは、最高の瞬間だった。私の知らない人たちがラジオで私の曲を聴くのもいいけれど、30人の人が私のライブを観てくれるのは、この世界で最高の出来事だった。もちろん今の状況にも感謝しているけれど、その時のことは決して忘れたことがない。私のことをストリートで悲しみ、苦しみもがいている人だと思っていた人もいただろうけど、それも私の人生の一部として愛したものだった。それがあったから経験できたことがあったわけだし、しかも今ではもうそこには戻れないのだから。

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