カーリー・レイ・ジェプセンが語る「Call Me Maybe」10周年、最高にポジティブな現在地

カーリー・レイ・ジェプセン(Photo by Meredith Jenks)

通算5枚目のアルバム『The Loneliest Time』を10月21日に発表したカーリー・レイ・ジェプセン(Carly Rae Jepsen)。今夏のサマーソニックでも存在感を発揮し、出日本でも不動の人気を誇る彼女が、現在のモードと誰もが知る大名曲について語った。


世間はカーリー・レイ・ジェプセンの近況が気になっている。前作を発表してからの3年間、世界がパンデミックの真っ只中にあった頃も含め、彼女は表立った活動をほとんどしていなかった。「誘導尋問ね」と口にした上で、彼女はこう続けた。「どう答えるべきか、いつも迷っちゃうんだけど」。ツアーとレコーディングの繰り返しが当たり前だったカーリーにとって、自宅での隔離を強いられた日々は大きなストレスだったという。またパンデミックの最中に家族が逝去し、彼女はその悲しみを乗り越えるためにセラピーに通わなくてはならなかった。「それがきっかけで、いろんなことについて熟考するようになった」と彼女は話す。「私の現在地はどこなのか、どの決断が自分を今の場所に導いたのか、私は今幸せなのか。答えを出すのが難しいそういう疑問の多くに、誰もがいつかは向き合わないといけない」

そういった内省の日々の中で、彼女は5枚目のアルバム『The Loneliest Time』を作り上げた。そして今、叔母と叔父が描いた絵をバックにビデオ通話に応じている画面越しの彼女が浮かべた穏やかな笑顔は、「今の気分は?」という厄介な質問に対する答えとなっている。「今はとても幸せ」と話した上で、彼女は笑いながらこう付け加えていた。「過去2年間を無事にくぐり抜けられて良かったと思ってる。でももう経験したくないな」

–『The Loneliest Time』ではリアルな感情と微かな光、そしてポジティブなエネルギーが混在しています。そのバランス感はどのように確立したのでしょうか?

カーリー:孤独っていうのがこのアルバムの大きなテーマで、それに伴う極端な行動や感情を表現しているの。ネガティブな意味にとられてしまいがちだけど、しっかりと向き合えば孤独は美しいものになり得ると思う。それは極端な行動につながることもある、少なくとも私の人生においてはね。真夜中に雨でずぶ濡れになりながら元カレの家まで走っていって、「もう一度やり直そう」って叫んだり。そういう突飛な行動に出る時は、絶対に何かきっかけがある。悲しげなタイトルだけど、私にとっては前向きなニュアンスでもあるの。



–特に注目してもらいたい曲を挙げるとしたら?

カーリー:「Beach House」かな。馬鹿げた曲なんだけど、すごく自然に生まれてきた。最近は誰もが出会い系アプリを使っていて、ホラーじみたエピソードを6つくらい持ってる。何度も傷ついて、すごく幻滅したっていう人も多いと思う。真剣な恋を求めてる人たちもいるのは知ってるけど、この曲で歌ってるのは相手を弄ぶことを目的にしている人のこと。これは私からの注意喚起なの。



–今秋に行われるツアーを楽しみにしていますか?

カーリー:身も蓋もないけど、正直今の状況でツアーに出るのはかなり度胸がいると思う。飛行機が遅延したり、機材が予定通り届かなかったりするのは日常茶飯事。先日のショーでは、他のアーティストからインイヤーモニターを借りたの。私たちのものはまだミネアポリスから発送されていないから。どこに行くにしても、大抵は電車と飛行機と車を併用しないといけない。本当に好きじゃなきゃ、今みたいな状況でツアーをやるのは難しいけど、幸いにも私にはそれだけのモチベーションがある。ステージに立って、オーディエンスと今この瞬間を共有する喜びには、そういうリスクを冒すだけの価値があるから。

–あなたはLGBTQ+層からの支持も厚く、今回のツアーではチケットを1枚売り上げるごとに1ドルをAlly Coalition(LGBTQ支援団体)に寄付すると発表しています。そういったファンとの絆についてどう感じていますか?

カーリー:すごく幸運に思ってる。ステージに立ってる時って、自分が普段の自分じゃなくて、ポジティブなエネルギーの媒介になっているように感じるの。そう思うようになってからはパフォーマンスも変わったし、あらゆる物事に対する考え方が変化した。私はアーティストとして、誰もがありのままの自分になれる開放的で安全な空間を作り出したい。ステージ上で完全燃焼した時の感覚、私はあれが何よりも好きなの。

Translated by Masaaki Yoshida

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