アイドルから新時代のロックスターへ ハリー・スタイルズが追求してきた「自由な愉しさ」

ハリー・スタイルズ、2022年4月15日にコーチェラ・フェスティバルにて撮影(Photo by Kevin Mazur/Getty Images for ABA)

 
ハリー・スタイルズの最新3rdアルバム『Harry’s House』が、早くも2022年を象徴するヒット作となりつつある。ワン・ダイレクション時代から社会現象を巻き起こしてきた彼は、どのようにして世界最重要ソロ・アーティストとしての地位を築いてきたのか。ライター・辰巳JUNKに解説してもらった。

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多様性に満ちたスター像

「ロックは死んだと言われるよそで、コーチェラ初夜のヘッドライナーはスパンコールのキャットスーツに身を包んでいた。その名は、ハリー・スタイルズ」――ケイト・ハッチンソン(The Guardian

世界中の音楽ファンが中継視聴するコーチェラ・フェスティバルは、ヘッドライナーにとって、自身に関心が低いリスナーに才能を魅せる絶好の機会だ。それを見事に成功させたのは、2022年の場合、ハリー・スタイルズだろう。「レッド・ツェッペリンを超える泣きギター炸裂」とも語られたバンドサウンドを従えた彼は、世界に向けて、己が「新時代のロックスター」だと証明してみせた。



英The Guardianより「ロックの神の再誕」と評されたコーチェラでのステージは、歴史の序章に過ぎなかった。優雅に疾走する80sシンセな新曲「As It Was」はSpotify史上最速で5億再生を超えた。つづいてリリースされた3rdアルバム『Harry’s House』も、1日で全曲500万ストリームを達成し同サービス初の記録を樹立。今、世界最大の音楽スターは、ハリー・スタイルズにほかならない。



ポップロックスターとして君臨するハリーだが、その存在の大きさゆえ、様々な顔を持っている。ウルフ・アリスミツキを前座に据えるツアーには、BTSメンバーやSZA、リゾら若手スターが駆けつける。同時に、彼のメンターはロックの伝説であるフリートウッド・マックのスティーヴィー・ニックスで、ジョニ・ミッチェルやリアム・ギャラガーら大御所も称賛を寄せている。

パブリックイメージはさらに多様だ。人気ボーイバンド、ワン・ダイレクション休止後にソロキャリアを大成させた、いわば「元アイドル」。TikTokトレンドを巻き起こした着用カーディガンが美術館に収蔵されたほどのファッションアイコン。クリストファー・ノーラン監督映画『ダンケルク』やMCU『エターナルズ』に出演する新鋭俳優でもある。おまけに、大の日本好きとして知られ、新作は後述のとおり細野晴臣リスペクトだというのだから、まことに情報量が多い。

 
 
 
 

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