かりんちょ落書きが指向する骨太なロック、自分の弱さや恥ずかしい部分を描く理由

ー今作に収録されている楽曲の中で、特に思い入れのある曲、制作に苦労された曲はありますか?

「スペード」という曲は唯一お題をもらって作った曲なんですよね。ライブハウス定期的にやっている弾き語りのイベントで、ひとつのテーマに沿ってその日出演する演者が曲を作ってくるっていうものがありまして。それで「スペード」っていうお題を出されて、色々考えても訳分からなくてイベントの2日前くらいまで書けなかったんですよ。もうめちゃくちゃ適当な曲にしてしまおうかなとか思うくらい。そんな時にスペードって反対にしたらハートに形が似ているなって気づいて。でも歪な形でハートではないな、みたいなことを思い浮かんだんですよ。そこからスペードから連想した、ハートにはなれない存在みたいなものを自分の中で1個テーマに置いてラブソングを作ろうと考えたんです。それが決まってから歌詞ができるのはすごく早かったんですけど、それまでが煮詰まりすぎて。あと締め切りが決まっていたのもあったんで苦労しましたね。

ー「昼中電車」は、くるりに影響受けて作った楽曲になっているんですよね。

くるりって独特の雰囲気、空気感があるじゃないですか。いつでも聴ける安心感があるというか。僕は『NIKKI』というアルバムがすごく好きなんですけど。くるりみたいにどの場面にも浸透するような、色んな色を持っている曲を作りたいなと思ってできたのが「昼中電車」という曲ですね。

ー今回のアルバムのラストに、「又、風呂に入れない夜」という楽曲を持ってきたのは、何か意図があるのでしょうか?

この曲は、形にしてく中でものすごくカロリーが高い曲になってしまって、最後以外には組み込めないと思ったので必然的にラストの曲になりました。逆に、楽曲の盛り上がりや、曲単体でのエネルギーみたいなものは1番あると思っているので、この曲が最後にある形が1番綺麗かなとも思いました。

ータイトルそのままからしても、無気力さみたいな部分が表れていますよね。

まさにその通りで、この曲は自分自身が沈んでいたタイミングとも重なっていて。普段から携帯に歌詞を書き留めているんですけど、恋愛がうまくいってない時に無意識に書き留めていた言葉を後日見返していたらこのタイトルの言葉が出てきたんですよね。ただ「風呂に入れない」って繰り返しているだけなんだけど、なぜか自分の目に留まって。そこから広がってできた曲ですね。

ー今作のフルアルバム全体を通して、リスナーの方に届けたい思いを教えてください。

僕の歌詞は、どちらかというと悲観的で弱気な歌詞が多いので、自分の弱さや恥ずかしい部分を変えたいっていう多くの人が抱える気持ちに寄り添えると思ったんです。あと寂しい気持ち、どうしようもない気持ちにも寄り添えるような曲になればと思い作りました。でも曲調は明るくてロックな曲が多いので、言葉との対比だったり、アンバランスな感じも楽しめる作品になっていると思います。

ー今後シンガーソングライター・かりんちょ落書きとして、どういったアーティストを目指していきたいですか?

やっぱり、星野源さん矢沢永吉さんのような伝説を目指していきたいですね。あそこまで行けたら気持ちいいだろうなぁと思います。

ーかりんちょ落書きさんが作る1つ1つの曲は、決して今の流行りに縛られているわけじゃなく、長い日を超えて愛されていくような気がします。

それは言っていただけることが多くて、僕はあまり意識したことはないんですけど。すごいラッキーで嬉しいなと思いますね。でも確かに自分が好きな、ザ・ブルーハーツ、ザ・クロマニヨンズ、奥田民生さんやウルフルズとかが作る音楽は、どの時代でも聴いているっていう印象はあって。そういうところに影響受けたから、自分も自然にそういう風に曲を作っているんだと思います。



<リリース情報>



かりんちょ落書き
1stアルバム『レストラン』
2023年4月7日(金)リリース
価格:2750円(税込)
=収録曲=
1. 溶け合うくらい
2. dari
3. 海が満ちる
4. 少年
5. ピンク
6. スマイル
7. (SANPO Brake)
8. 昼中電車
9. スペード
10. 管制塔
11. 又、風呂に入れない夜

配信リンク https://linkcloud.mu/2f8bcfc8
アルバム購入ページ https://tower.jp/item/5697141
取扱店舗
タワーレコード町田店
タワーレコード渋谷店
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タワーレコード福岡パルコ店

HP https://karincho-rakugaki.com/

Rolling Stone Japan 編集部

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