かりんちょ落書きが指向する骨太なロック、自分の弱さや恥ずかしい部分を描く理由

ーかりんちょ落書きさんの音楽ルーツについて教えてください。

僕は物心つく前の幼少期の頃、福岡に住んでいた時代に無意識の中で流れいてた音楽がスピッツと尾崎豊とGOING UNDER GROUNDでした。完全に両親が好きな人たちだったんですけど、メロディーや旋律を聴いてすごく心地よくて。もう好きとかそういう次元じゃなくて染み込んで来たものだったんですよね。それから中学生になってバンドメンバーと出会い、そこでザ・クロマニヨンズ、エルファントカシマシ、ウルフルズ、奥田民生さんとか、骨太で強固なロックに出会いました。

ー確かにサウンドからスピッツの爽やかさに加えて、ウルフルズや奥田民生さんとかのロックな部分を受け継いでいるなと感じました。あとメロディーに関して何か意識されていることはありますか?

誰っぽいって言われないように作ることを1番意識していますね。好きな音楽にはもちろん影響受けているんですけど、「かりんちょの曲って奥田民生っぽいよね」とか良い意味でも言われたくなくて。でも好きな音楽は自分の血とか骨にはなっているから、そこから自分からしか生まれてこないようなメロディを意識して曲作りをしていますね。

ー詞に関しては、どういうところからインスピレーションを受けることが多いですか?

僕は頭が悪いんですよ。色んなアーティストを聴いて「こんな風に言えたら素敵だな」とか思うんですけど、自分にそれを上手く落とし込めないんですよね。それをやると嘘くさく感じてしまうというか。面白い言い回しや言葉遊びに苦手意識があって。だったらもっとナチュラルな言葉で、頭に入ってくるんじゃなくて心に入ってくるように言葉を紡ごうっていう意識に変わりました。自分がステージで歌った時に、どれだけ自分の気持ちが言葉に乗るかを大事にしています。自分が感じている思いを誰かにも同じように感じてもらえるように、歌詞はより自分の気持ちが乗るように作るってことを大事にしていますね。そのせいで最近は歌詞がすごく重いってよく言われるんですけど、それが良さでもありある種コンプレックスでもあります。でも自分が今できることは、どれだけナチュラルに胸に届く歌詞を書くかだと思っています。

ー確かにナチュラルな言葉にも、心に響く深みがあるところが日本語の良さだと思います。

ナチュラルっていうのは、自然な言葉の方がいいなと思っていて。普段使わないような言葉だと、頭で一回考えないと理解しづらいと思うんですよね。自分も音楽を聴いている時に感情が揺れる曲ってナチュラルな言葉で語りかけてくる歌詞が多いので、そのまま僕も感じたように詞を書いていますね。

Rolling Stone Japan 編集部

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