かりんちょ落書きが指向する骨太なロック、自分の弱さや恥ずかしい部分を描く理由

ー今作にある新曲のひとつ「スマイル」。こちら楽曲はどういった時期に制作されたんですか?

「スマイル」を作った時は、結構どん底の状態で。色々と人間関係に疲れてしまい、内にこもっていた時期だったんですよ。かりんちょ落書きっていうプロジェクトを始めて、これからどうしていこうかなと思っていた時に、たまたまテレビでエレファントカシマシの新春ライブみたいのがやっていて。確か「ファインティングマン」を歌っていたんですよ。その歌っている姿にものすごく感化されて、涙が溢れ出てきてしまって。そのエレファントカシマシの映像を見て、「今までやってきたこと、今まで培ってきたものをそのまま出していけばいいんだ」って思えたんですよね。だから、この曲は自分にとっての希望にしたくて「スマイル」という言葉にしました。

ー「ピンク」という楽曲は、制作時のエピソードがすごく面白いですよね。

酔っぱらった帰り道、泥酔して起きたら電車の中でどこか知らない駅にいたんですよ。やっちゃったなぁと思いながらポッケに手を入れたら全く記憶のないピンク色の錠剤が出てきて。誰かが持っていて回り回って僕のポッケに入っちゃったのかな、これは誰が持っていたんだろう、この錠剤がもしかしたらその人にとってものすごく大事な薬だとしたら自分が持っていていいわけないなとか妄想がいっぱい膨らんだんです。その妄想をテーマに曲を書いてみようと思って作った曲が「ピンク」なんです。

ー妄想からどんどんストーリーが膨らんでいって曲になることは多いんですか?

個人的には妄想半分、実体験半分ぐらいの感覚ですかね。

ー「少年」という楽曲は、ご自身の青春時代の実体験から来ているんですよね。サビの歌詞にある「少年よペンを持て 一冊のノートを持て」っていうフレーズがとても印象的でした。

これは、今の10代の人たちに向けて作りたいなという思いがあって。自分は学生時代、勉強せずにずっと絵ばっかり書いていたんですけど。でもその時の落書きばっかりしていたことが多分今に繋がっているなって思ったんです。別に絵だけではなく、どうしようもないくらい何かをしたいっていう思いがあるんだったら、それをずっとやって欲しいっていう思いでこの歌詞を書きましたね。絶対に恥ずかしいことでもないし、むしろそれを好きだって思ってやり続けることが、その人の未来を変えていくんじゃないかなって思ったので。ま、僕はそれがまあ別に絵描きになったわけじゃないんですけど、なんとかペンだったなと思ったので。

ーそういった、その瞬間に感じた思いみたいなものを歌われている楽曲が、かりんちょ落書きさんの曲には沢山あるなと感じました。

その時に感じたことを忘れないうちに形にして昇華していきたいみたいなところはあるかもしれないですね。

Rolling Stone Japan 編集部

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