かりんちょ落書きが指向する骨太なロック、自分の弱さや恥ずかしい部分を描く理由

かりんちょ落書き

自由形ロックンポップスを掲げるシンガーソングライター・かりんちょ落書き。爽やかでキャッチーなメロディーと、ウルフルズやエレファントカシマシなどから影響を受けたという骨太なロックサウンドは、どこか懐かしくもあり、新しい。一方、歌詞は感情に直接訴えかけるような等身大の言葉で紡がれており、パワフルで暖かみのあるサウンドとともに聴く者を優しく包み込んでくれる。ポップなサウンドと、悲観的に描かれた歌詞の組み合わせは、人間の弱さや寂しさに寄り添い、最終的には希望へと導いてくれるようだ。

今回のインタビューでは、2023年4月5日(水)にリリースされた1stフルアルバム『レストラン』の収録曲について、彼が辿ってきた音楽的ルーツ、シンガーソングライターとしてのスタンスなど、多方面にわたって話を訊いてみた。

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ーかりんちょ落書きという名前はどういった由来でつけられたんですか?

僕の名字が仮屋なんですけど、名前を考えた時に「あいみょん」みたいな、1回聞いたら忘れない名前がいいなと思って。そしたら知り合いから「沖縄のうみんちゅって言葉から取ってかりんちゅはどう?」って言われて、ありかもって思ったんですけど、別に沖縄にルーツを持っているわけじゃないので「かりんちゅ」だとそのまま過ぎて沖縄の人に怒られそうだなと思って(笑)。それで「かりんちょ」って言葉になりました。それだけだと味気ないので何か自分に精通する言葉を組み合わせようと思って。絵描くのがすごく好きだったことから落書きって言葉を思いついて。今後の活動も落書きのように思い描いたように活動できたらなと思ったので、落書きという言葉をつけ加えて「かりんちょ落書き」になりました。

ーすごく語呂がいいですよね。

最初は絶対やめた方がいいってバッシングの嵐だったんですけど、貫いてやっていく中で徐々に浸透してきた感じはありますね。

ー元々バンドとして活動されていたんですか?

そうです。中学2年ぐらいからバンドをやっていたんですけど、だんだんメンバーのやりたいことが違ってきて解散することになって、そこからソロのプロジェクトを始めるようになりました。

ーシンガーソングライターとして活動しいくのは、バンドとはまたスタンスが違ってきますよね。

やっぱりバンドを組んだことによって色んな音楽への探求心や楽しみが増えたんですけど、活動していくにつれてそれぞれのプライドとかがぶつかり合うようになってしまって。それが正直個人的にはちょっと疲れてしまって、もっと自分が思い描くように曲を作りたいっていう思いが強くなっていったんです。今は自分が考えたものを形にできるようになって、バンドとは違った良さ、悪さがあると思います。

ー自分の中でもっと作り込んでいきたいっていう気持ちが芽生えていったんですか?

基本的にデモ段階で自分がやりたいことをある程度全部やって、それを完全にサポートメンバーの方に投げて作っています。やっぱりデモを作るという作業は1番重要視していますね。自分がやりたいことを崩さずにできるところが、シンガーソングライターの特権なのかなって気はしますね。

Rolling Stone Japan 編集部

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