ベルウッド・レコード50周年総括、三浦光紀が築いた才能溢れるニューミュージックの土台



田家:この曲を選んだのは?

三浦:これは休みの国っていうグループの高橋照幸さん、名曲だなと思って。大塚さんと、歌っているのはながいさんなんですけど、大塚さんたちの「追放の唄」の方がかっこいいなと僕は思っていて。大塚さんに聞いたら、これもバックは鈴木茂さんの代わりに石田長生さんが入って、あとは加川良さんのバックと一緒で天才居候少年2人とキーボードが佐藤さんなんですよね。聴くと分かるんだけど、田中さんのベースがすごいんですよ、とんでもないベースをやっているなと思って選びました。

田家:佐藤さん、田中さん、林さんというのはもともとディスという石田長生さんのバンドだったんですってね。これ、今回初めて知りました。

三浦:そうそう。これもシアターグリーンっていう小さいライブハウス、そこでレコーディングしたんですよ。スタジオ録音ではなくて。

田家:休みの国の「追放の唄」がもっと重くて、本当に石を持って追われる如く、追われている人の背中が見えるみたいな歌だったんですけど、全然違いますもんね。

三浦:そうですよね。ヘッドアレンジでやったと言ってましたけども。

田家:このアルバムには細野さんの「恋は桃色」も入っている。ザ・ディランⅡの話はこの後も続きます。次は37曲目ザ・ディランⅡで1975年5月発売、ライブ『時は過ぎて』から「こんな月夜には」。



田家:しみじみ飄々とした方坊主ララバイという感じですね。

三浦:西岡恭蔵さんがボーカリストとして大塚さんを選んで、自分の曲は大塚さんのために書いているんだって言っているわけですから本当に味のあるボーカリストですよね。でも、これは大塚さんの詞なんですよね。だから、彼はいい詩人なんですよ。

田家:大塚さんはご自分のTwitterでこの番組の「ベルウッド50周年」をあげてくださっておりました。大塚さんありがとうございました。

三浦:ありがとうございました(笑)。

田家:ライブ盤は解散ライブでしょ?

三浦:ですよね。

田家:三浦さんはさっきの加川良さんもそうですけど、ベルウッドの後にフォノグラムでニュー・モーニングというレーベルを始められた時も加川さんが行っている。

三浦:そうですね、みんな。

田家:ザ・ディランⅡの大塚さんも。

三浦:うん、一緒に。そこで大塚さんのソロを初めて出すんですよね。そこでまたこの歌を歌っている。こっちは生歌みたいな感じで、あっちはバックをつけたりしてやっているんですけど。

田家:はっぴいえんどもそうですけど、バンドだけじゃなくてそれぞれ1人1人のその後のキャリアもお付き合いされているというか、プロデュースされているわけでしょ? それはレコード会社を越えて。

三浦:フィリップスにいた時もビクターのレイジーヒップなんかを頼まれて、グアム島にレコーディング行っているんですよね。ビクターの仕事しているんですよ、考えてみたら。フィリップスにいた時にね。小室さんはフォーライフですよね、それも僕やってましたから。

田家:日本のプロデューサーというあり方、かなりレコード会社に引っ張られている感じがするでしょう。

三浦:普通はやっちゃいけないですよね(笑)。

田家:今はフリーのプロデューサーたくさんいますけども、70年代は違いましたもんね。

三浦:会社から給料をいただいているのでね、他からもらっちゃいけないなって。でも人間的な繋がりでそうやって一緒にやってくれと言われるので。

田家:そういうプロデューサーの第一号ということでもあるんだろうと思うのですが、この人ともそういう関係であります。1975年12月に出たアルバム『僕は天使ぢゃないよ』から同名のタイトル曲です。

三浦:これもベースすごい。

Rolling Stone Japan 編集部

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