The 1975のマシュー・ヒーリーが見つけた「希望」 アートの可能性とバンドの未来を語る

前回の取材で、マシュー・ヒーリーは本物の愛が存在するのかどうか分からないと語っていた。しかし彼は今、ロマンティックな意味での愛の有無に関わらず、誰もが音楽を介して経験する集合体としての愛について語っている。これも本物の愛の形ではないだろうか。

「100パーセント間違いない」とマシューは言った。「1万人のオーディエンスの前に立っていても、個人としての自分を心から愛してくれる恋人がいない時だってある。誰だってパートナーはほしいし、特に夜になると人肌が恋しくなる。ホテルの部屋に一人きりで、夜がどんどん迫ってくるとなると尚更だ。誰かが『マティ愛してる!』って叫ぶのが聞こえて、僕は心の中で『嘘つけ』って毒づき、相手に対して怒りさえ覚える。20代がそんなふうなのは、ボーイフレンドやガールフレンドの何もかもにロマンを求めるからだ。目の前に1万人のファンがいたって関係ないんだよ。心が満たされていて、あらゆる愛を同時に求めようとさえしなければ、愛は美しく実りあるものなんだってことに、僕はやっと気付いたんだ。あらゆるドラッグ、あらゆる経験、そしてあらゆる愛を同時に求めることを、僕はやめなきゃいけなかった」


Matty wears vintage shirt by Prada, vintage tie, Matty’s own, trousers by Louis Vuitton, shoes by John Lobb and sunglasses by Ray-Ban (Photo by Samuel Bradley / Styling by Patricia Villirillo)

パンデミックと重なった過去2年の間にそれを実践した彼は、昨年からステージに立つことが苦でなくなり始めたと話す。「何が言いたいのかというと、物事を当たり前のこととして捉えなくなったってことだよ」と彼は話す。「君が言ったように、パンデミックあるいは他人との結びつきにおける新たな形は、本物の愛が具現化したものだから」

つまり、観衆の一人一人との結びつきを大切にしようという「章」を迎えたということだ。「何かに依存したり、何もかもに執着するんじゃなく、目の前にあるものすべてに感謝するってことだよ」

「それを肝に銘じて、何もかもを見境なく愛そうとしなければ、The 1975の未来には希望が持てると思うんだ」とマシューは話す。バンドはシンプルなやり方で各種ソーシャルメディアを再ローンチし、新作の収録曲を公開し始める予定だという。「僕はまだジョークを飛ばしてるけど、今の僕らはこんな感じなんだ。『コメントはどうする? 味気ないものじゃダメだし、やたら意味深なものやカッコつけたやつもNGだ』。たぶんこんな感じになると思う。『やぁみんな、いつも本当にありがとう。これを楽しんでくれたら嬉しいよ。みんなのことを愛してる』」



From Rolling Stone UK.

Photography: Samuel Bradley
Fashion direction: Joseph Kocharian
Styling: Patricia Villirillo
Makeup: Elaine Lynskey
Hair: Matt Mulhall c/o Paula Jenner @ Streeters
Photo Assistant: Stephen Elwyn Smith
Styling Assistants: Nelima Odhiambo & Rafaela Roncete
Lighting Assistants: Kiran Mane & Emilio Garfath
Studio Assistant: Oak McMahon




The 1975
『Being Funny in a Foreign Language』
2022年10月14日リリース
再生・購入:https://the1975.lnk.to/BFIAFL_JP


The 1975来日公演
神奈川 2023年4月26日(水)ぴあアリーナMM
神奈川 2023年4月27日(木)ぴあアリーナMM
愛知 2023年4月29日(土)Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場)
大阪 2023年4月30日(日)大阪城ホール
詳細:https://www.creativeman.co.jp/artist/2023/04the1975/

Translated by Masaaki Yoshida

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