The 1975インタビュー「ルールを設けないこと、それが僕たちのルール」

The 1975(Photo by Jordan Hughes)

The 1975に米ローリングストーン誌がインタビュー。最新作『仮定法に関する注釈』の背景、そして進化を続けるバンドのヴィジョンについて、マティ・ヒーリーとそのコラボレーターたちが語る。

マティ・ヒーリーはディスられた理由と経緯について確信している。火曜の午後、彼のバンドThe 1975の4作目にしてカテゴライズ不可能な大作『仮定法に関する注釈』(原題:Notes On A Conditional Form)は、その約1時間前にネット上にリークされてしまった。正規のリリース日である5月22日までの残り数日をじれったい思いで過ごしていたバンドの熱狂的信者たちは、ヒーリーが同性愛者を嫌悪していると批判された時のことを振り返るアメリカーナ調の曲、「ロードキル」について議論を繰り広げている。



「『あの曲の歌詞の一部はまるでクールじゃない。あんなのはダメだ』なんてメッセージが山ほど来てるよ」Zoomでのビデオ電話開始から数分後、ヒーリーはそう話した。「まず第一に、人のアルバムを盗んでおいてその持ち主にケチをつけるって一体どうよ? マジでいい度胸してるぜ!」

ヒーリーは現在、イングランドの田舎にある居住空間を併設したスタジオで、彼の弟Louis、プロデューサーの友人Joe、クリエイティブパートナーでバンドメンバーのジョージ・ダニエル、そしてMayhemという名のカネコルソの子犬と共に隔離生活を送っている。彼は過去数カ月間に渡って維持していたモヒカンヘアの一部を刈り取り、現在ではラットテール/マレットのハイブリッドのようなスタイルとなっている。画面越しの彼はカナビスを巻きながら、ボトルのコーラを飲んでいる。「毎週のようにディスられても気にならない時もあるよ」彼はそう話す。「でも腸が煮えくり返る時もある」

その論議の経過について説明しつつ、彼は歌詞の意味についてこう語る。「あのラインは、ゲイの人々の人権を訴える活動家としての僕の実体験に基づいてる。ある日の夜、僕はアメリカの中西部の空港にいた」彼はそう説明する。「長髪でスカートを履き、レインボーカラーのTシャツを着た僕を見て、いかにも保守派っぽい酔っ払いが『このオカマ野郎』って言ってきやがったんだ。そういう経験について口にするなとは誰にも言わせない」

電話を切ってからほどなくして、ヒーリーはTwitterでいくつかジョークをツイートし、リークされた音源を聴いたファンは「The 1975刑務所」に送られるという内容のミームをシェアしたが、「ロードキル」に対する批判については触れなかった。彼は何年にも渡って物議をかもすコメントを様々なプラットフォームから発信し、それをバンドに対する注目へと結びつけてきたが、ツイートという表現手段は自分に適していないと結論づけていた。そして彼は筆者に、インタビューもまた然りだと語った。The 1975のアルバムがそうであるように、彼は長尺のステートメントを好み、それ以外のものはすべて切り詰める。「僕はただ思うがままに歌詞を書く。それを聴くかどうかはあんた次第さ」

Translated by Masaaki Yoshida

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