デュラン・デュランが語る、80年代が特別だった理由、革新的であり続けるためのバンド論

このバンドで音楽を作り続ける理由

ー『FUTURE PAST』は様々なサウンドとともに、いくつもの感情がミックスされています。驚くほど多くの喜びや祝福が込められている。このアルバムには暗いテーマも含まれていますが、それらがすべて一緒になっているので、喜びや祝福の気持ちがたくさんあることに驚きました。

サイモン:私は、光と闇の両方が必要だと思う。このアルバムの歌詞を書くために掘り下げたもので、見るからに難解な場所に深く入り込んでいる。

ジョン:例えば、昨年バンドの40周年を迎えたよね。そのことに僕らも最初は興奮していたけど、本当に祝われたいか?と思うようになった。ニックは、自分たちの記念日を祝うためにできる最善のことは、素晴らしいアルバムを作ることだと言っていた。アニバーサリーというのは難しいよね。そこまで到達するのが困難なのと同じように、そこに留まることも容易ではない。これは結婚記念日など、どんな記念日にも言えることだ。

サイモン:光と闇を繋ぐという意味で、象徴的な一曲が(トーヴ・ローをフィーチャーした)「Give It All Up」だ。オープニングは“僕らは夕暮れ時に、道なき道で迷い込んでしまった”と寂しい感じ。そこからサビでは“そんなの関係ない、あなたのためなら全てを捧げよう”と、ある意味ではアルバム中で最も祝福すべき歌詞が出てくる。この曲は愛、コミットメント、誠実さ、そして喜びについて聞き手に問いかけているんだ。

ニック:僕らは最初の頃から、アルバムの中で常に明暗のバランスをとっていたような気がする。光と闇を見なければ全体像は見えてこないからね。




ー私のお気に入りの一つは、そのテーマに沿った「Hammerhead」。サウンド、ヴォーカル、歌詞、あらゆる面で驚異的な曲です。

サイモン:この曲は、自分の内側が振り向いて、歯を大きく輝かせながら迎えに来ることを歌っている。自分自身と向き合うことを歌った曲だね。

ニック:僕らはどちらかといえば、元気の出る曲で知られていると思う。でも、どのアルバムにも大なり小なり暗い部分がある。今回はちょうど半々くらいのバランスじゃないかな。

サイモン:アイヴォリアン・ドールが“I’m coming for you”と歌うくだりは軽快だけど、とても怖い何かが迎えに来ているようにも思えてくる。

ニック:曲が完成してミックスされる段階まできたところで、サイモンが「この曲にラッパーを入れたい、ロンドンのラッパーがいい、こんな声がいい」と言ってきたんだ。これはとんでもないアイデアだ、きっと素晴らしいものになるだろうと思った。そして、アイヴォリアン・ドールを見つけて、サイモンが頭の中で描いた曲に、彼女が新たな一面を加えてくれたのさ。

サイモン:元々はダークな方向に少し傾きすぎていたので、こうすることで明るくなると思ったし、女性のエネルギーもほしいと思った。それにユーモアまで加わって、曲の良さが倍増したね。

ロジャー:「Hammerhead」が素晴らしいのは、スローなグルーヴが機能しているところ。リズムセクションとしては、スローなグルーヴで感動させるのが最も難しい。僕らの初期作を聴いてみると、すごく速いんだよ。

ー最初にヒットした曲の1つ「Save A Prayer」は、スローでありながらスピード感もある。悲しくもあり、楽しくもあります。

サイモン:それがいいんだろうね。僕は憂鬱な気分を怖れたことはない。ちょっとしたスイッチを入れるだけで、それが喜びに変わるような美しさがあると思っている。

ニック:あの曲は、アメリカだと特別ヒットしなかったよね。3rdアルバムを完成させたとき、先に「Union of the Snake」を出して、次のシングルに移ろうとしていたとき、ちょうどナイル・ロジャースと一緒に「The Reflex」を作ったのを覚えている。「最高のサウンドだ、これこそ望んでいたものだ」とみんな言ってたよね。でも、レコード会社のキャピトルは「この曲はうまくいかないだろう。ラジオに馴染みそうにないし、君たちらしくない曲だ。我々としては『Save A Prayer』を再リリースしたい」とのことだった。その判断はクレイジーだと思ったよ。僕らは新しいアルバムを出して、ナイル・ロジャースと一緒にこの曲を作ったばかりで、とても気に入っていたから。だから、キャピトルとは大いに争ったよ。そうしてリリースされた「The Reflex」が、当時の僕たちにとって最大の世界的成功を収めたのはご存知の通りだ。




ーあなた方は長年にわたって多くの外部プロジェクトを行ってきました。しかし、何かがあるからデュラン・デュランに戻ってきて、今も一緒に音楽を作っている。その何かとは?

サイモン:僕の場合、一人でやるほうはうまくいってるし、ギターで曲を書いたり、ボートレースをしたりと充実している。でも、彼らと一緒にスタジオに戻ったら、自分でもびっくりするようなことができるんじゃないか。そういう思いが常にある。ひとりでやっていると、自分を驚かせるのは非常に難しいけど、このユニットは僕を驚かせてくれる。そのチャレンジに立ち向かい、自分の仕事をこなすことができるのは最高のスリルだね。

ニック:僕たちは、お互いの精神を高め合うこともできる。多くのバンドがいつも喧嘩をしていたり、楽屋が違っていたりして、お互いに話さなかったりする。でも、僕らは一緒にいるのが好きだし、みんなで仕事をすると、ひとりでは到底生み出せないエネルギーを感じられるんだ。

ロジャー:僕らはみんな、お互いが最大のサポーターだと思う。足を引っ張ろうとする人もたくさんいたけど、いつもみんなで助け合ってきた。

ニック:最後に、デビュー当初の僕たちに辛辣な評価をしてきた方々に感謝したい。悪い評価を受けるたびに、「そんなものは無視しろ」とばかりに前身してきたからね。

From Rolling Stone US.





デュラン・デュラン
『FUTURE PAST』
発売中
詳細:https://wmg.jp/duran-duran/

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