拷問以上の地獄 米刑務所で大問題になった「恐怖の独房」

3週間で体重が26%も減少した

2019年2月、不動産業者のダニエル・ダンさんは38歳の弟のジョナサン・ランカスター受刑囚と面会したが、弟は終始小声で話していた。「弟の声は以前と違っていました。明らかに精神疾患を患っていました」と、彼女はローリングストーン誌に語った。ランカスターは他の囚人と諍いを起こしたため独房に入れられ、徐々に妄想に陥っていった。「独房にガスが送り込まれているとか、食事に毒が入れられているとか言っていました。私は『大丈夫? ちょっとおかしな口ぶりだけど』と言いいました」 ランカスターは黙ったままだったという。「すると弟はまた小声で、『やつらに殺される』と言ったんです」

ランカスターの体重が落ち、常軌を逸した行動を続けても――姉いわく、彼は頭語失調症をはじめ様々な精神疾患を患っていた――刑務所職員はランカスターに適切な治療を受けさせなかった、と姉は主張している。彼は幻覚を見たり、胎児の姿勢でうずくまったりするようになり、水も食事も拒んだ。デトロイトフリープレス紙の報道によれば、彼は3週間で体重が26%(51ポンド)も減少した、と訴状には書かれている。

「職員ですら、弟が独房に入れられた理由が分かっていませんでした」とダンさん。彼女は弟に適切な治療を行うよう職員に懇願したが、「身体上は問題ない」と言われたという。2019年3月8日、彼はペッパースプレーをかけられて観察室に入れられたが、訴状によれば水は与えられなかった。3月11日、病院での診察が認められた。その日の朝、彼は拘束椅子に縛り付けられた状態で独房に置き去りにされた。12時50分、身動きしていないのがわかり、のちに死亡が宣告された(ランカスターの遺族は過失致死でミシガン州矯正局職員を訴えている。ゴーツ氏は係争中の件についてコメントを控えた)。

「弟はひどい拷問を受けていました」とダンさんは目に涙を浮かべながらこう言った。「彼らは弟を殴っていたんです。身体中に痣がありました。反応がないと、ペッパースプレーをかけられ、殴られました。彼らは文字通り、弟が虐げられ、死んでいくのを何もせず見ていたんです」。母親は精神病棟に入院した。「それどころか母も殺した。母親はとても苦しんでいます」

「残酷です、弟を排泄物の中で死なせ、こんな苦しみを味合わせるなんて」と、ダンさんは弟についてこう語った。

Translated by Akiko Kato

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE