拷問以上の地獄 米刑務所で大問題になった「恐怖の独房」

最も重い罰は社会から完全に孤立させること

「社会が(つまり人間が)人間に対して与えられ得るもっとも重い罰は、俺たちを追放して生きたまま墓に入れること――さもなくば、社会から完全に孤立させて感覚を奪うこと」。 2020年、アケシはミシガン州イオニア郡のイオニア矯正施設からこのような手紙を書いた。「精神的にも身体的にも、終わりのない拷問だ」

「専門用語でシステムを外から見えにくくしているんです。こうした婉曲的な表現は、どれも実質的には独房です」とサンドヴァル氏。睡眠時間よりも長く囚人を強制隔離した場合、すべて独房と定義されるべきだ、と彼女は言う(この件に関してゴーツ氏は知らないとローリングストーン誌に答え、矯正局の情報開示室に問い合わせを転送した)。ミシガン州矯正局の統計では、管理隔離または長期隔離に置かれている囚人は835人、短期の罰として懲罰的隔離に置かれているのは130人。人種の内訳は明白、長期隔離に置かれた囚人の70%が黒人だ。

囚人たちの話は驚くほど一貫している。みな幻覚や妄想、自殺願望など、隔離が原因の重度の精神疾患を経験している。ある囚人は、狭い部屋で長いこと宙を見つめ続けたために視力を失ったと報告している。ウィリアムズ氏の話では、別の囚人は大声で電話していた。普通のトーンでの話し方を忘れてしまったのだ。

隔離されているものは「極悪中の極悪人」――他から引き離しておかなければ大惨事を引き起こすハンニバル・レクターではない、とウィリアムズ氏は指摘する。囚人たちは理由などお構いなく、時には理由すらなく独房にぶち込まれる。完全に看守の気まぐれだ、と彼女は主張する。「ある男性は、水の入ったグラスを落としたせいで隔離棟に送られました」(ミシガン州矯正局の広報担当者ゴーツ氏は、看守が正式な手続きや正当な理由なしで囚人を独房に入れることはない、と否定した)。

さらにウィリアムズ氏は、多くの施設が地方に置かれている点を指摘する。町の住人はほぼ白人だけ、場合によっては刑務所が主要産業だったりする。「黒人を完全に隔絶された場所へ連れて行くんです。黒人の囚人で生きながらえている町に」

「北に行けば行くほど……50年代60年代の南部のようになってくる」とは、アンドラウス・マクラウド受刑囚の手紙の一節。「ミシガン州矯正局のユニフォームを着たKKKだ」と、アンソニー・リチャードソン受刑囚も書いている。「誰も見ていないところで、奴らは憎悪行為を行っている」


Jody Hill/Silenced.in

Translated by Akiko Kato

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