拷問以上の地獄 米刑務所で大問題になった「恐怖の独房」

1996年、米テキサス州ハンツビルにある老人受刑囚専用棟エステル棟にて。危険人物とみなされ、独房に収監された受刑囚(Photo by Ed Kashi/VII/Redux)

独房に入れられて数週間後、トゥンク・ウラズ受刑囚はすっかり平静を失っていた。叫び声を上げ、壁に頭を打ち付け始めた。震える手でシーツを結び、首をくくる輪を作ったが、天井にはどこにも引っ掛ける場所がなかった。

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「昼と夜が逆転し、しばらくすると昼も夜も関係なくなって、意識の中をさまよっていた」。囚人支援活動家のジャックことジャクリーン・ウィリアムズ氏に宛てた手紙で、ウラズはこう書いた。「俺はもうすぐ死ぬんだ、この檻に閉じ込められたまま死んでいくんだ、と思ったのを覚えている」

ウィリアムズ氏宛に手紙を書いたもう一人の受刑囚、ジョディ・ヒルはミシガン州矯正局から虐待とネグレクトを受けたと感じている。矯正局は男性受刑囚の施設に入れられたトランスジェンダーの女性に適切な保護をしなかった、と彼女は言う。「私の存在すら認めようとしない制度と私は戦っているの」と。彼女は2001年以来収監されているが、5年間独房に入れられたことがある。出てきたときには自分の歳もわからなくなっていた。

「周りからは、扉の向こうで卑猥な叫び声が1日中あちこちから聞こえてきた」と、手紙の中でヒルはこう記している。「独房の中の机を一晩中叩いたり、空腹や鬱を訴えたり。時にはそのせいで、自分の排泄物で独房の壁に絵を描いたり何度も壁に頭を叩きつけたりする人もいる。外からの刺激がないために、理性が蝕まれていくのを必死で食い止めようとするのよ」

「これから俺が語ることは、本当はあまり人に言いたくない」と書いているのは、ミシガン州イオニア郡矯正施設のアンソニー・マクゴーワン受刑囚だ。「(隔離棟の)中にいた間、首を吊る寸前まで、俺は自分の排泄物で壁に文字を書いていた」

ウィリアムズ氏は受刑囚と直接交流する支援団体、AFSCミシガン刑事司法プログラムに5年間勤務している。彼女は手紙で数人の受刑囚と関係を築くうちに、一般囚人から隔絶された囚人の生活がどんなものか分かってきた。「隔離された人々(との会話)から、いくつものパターンがあることに気づきました――他にも気づいたことがあります。筆跡の変化や妄想の症状などです」と彼女は言う。「内部の状態について知れば知るほど、隔絶の実態がよく分かってきました。ほぼ合法的な拷問に近い、社会的つながりと感覚の剥奪です」。彼女はこれらの手紙をまとめ、最終的には独房についての生々しい証言をまとめたWEBサイト「Silenced: Voices from Solitary in Michigan(口を閉ざされた者たち:ミシガン州の独房の声)」を立ち上げた。本質的に、ほぼ秘密裏に行なわれがちな慣習を暴くのが目的だ。サイトには約100通の手紙が掲載され、幻覚から自殺願望まで、囚人たちが体験した恐怖体験の種類別に検索できるようになっている。

「彼らは、自分たちの声を聞いてほしいんです」とウィリアムズ氏。最初に囚人たちの話を集め出したころは、彼らが看守から罰せられるのではないかと心配だったそうだ。だが、受刑囚たちは気にしていないことが分かった。「みんなこう言うんです、『もうこれ以上悪いことなど起こりっこない、役に立つことのほうが報復の危険よりも大事だ』って」とウィリアムズ氏。「彼らにとって、これ以上事態は悪くなりようがなかったんです」


WEBサイトに手紙が掲載されたジャスティン・ギブソン、ジョナサン・ランカスター、ジョディ・ヒル(Courtesy of Silenced.in)

Translated by Akiko Kato

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