霜降り明星・粗品が語るボカロ文化への憧れ、芸人離れした本気の音楽表現

粗品(Photo by Mitsuru Nishimura)


音楽のルーツ、お笑いとの相互作用

―ゼロ年代の後半くらい、思春期ど真ん中の粗品さんが影響を受けたアーティストとして、先ほどヒャダインさんの名前もありましたが、それ以外ではどういう方がいますか?

粗品:当時のボカロPではwowakaさん、ハチさん、トーマさん、ピノキオPさんとかが大きかったです。あとは、田中秀和さん、やしきんさん、ヒゲドライバーさん、UNISON SQUARE GARDENの田淵智也さんみたいな、アニソンのクリエイターの登場もあって。そっちにめちゃくちゃ興味を惹かれていったんですよね。

―なるほど。僕は粗品さんの曲を聴いた印象として、マキシマム ザ ホルモンと『涼宮ハルヒの憂鬱』や『らき☆すた』の頃の神前暁さんが両方ルーツになっている感じがあったんです。一方はロックで、一方はアニソンだけど、ボカロも含めてそれを同じ耳で聴いて育ってきた世代という感じがしたというか。

粗品:まさにホルモン大好きですよ。神前さんも大好きです。ドンピシャですね。マキシマム ザ ホルモンの曲のシステム、パワーコードの進行とか曲の展開にはめちゃくちゃ影響されてると思います。


Photo by Mitsuru Nishimura

―これ、たぶん、ジャンルで音楽を聴いてる人は全然ピンとこない話だと思うんです。マキシマム ザ ホルモンはロックフェスで盛り上がってる音楽だし、神前暁さんや田中秀和さんの曲はアニメの主題歌で流れる曲だし。でも、聴いている感覚としてどこか似たものがあったからこそ粗品さんは両方が好きだったんだろうと思うんですね。その辺の感覚がアーティスト活動としての基盤にもなっているし、ひょっとしたら漫才とかピンネタのリズム感にも影響を与えているんじゃないかと思ったんですけれど。この辺はどうですか?

粗品:めちゃくちゃ影響を受けてますね。マキシマム ザ ホルモンがやった「急にそうなんの?」という展開、たとえばいきなりメタルのデスボイスが入ってくるような展開って、当時めちゃめちゃ新しかったじゃないですか。それに加えて、アニソンの曲展開って、オープニング映像でキャラクターがこのテンポで、このカット割りで動くにピッタリ合ってて、それが面白かったりするんですよね。特にサビ前のドラムのシンバルに合わせてキャラクターが出てくる忙しさみたいなのが好きで。そういうところは確かに僕の芸風にありますね。ピンネタのフリップネタもそうなんですけど、ジェットコースター感というのは、お笑いの芯にある。そこは音楽から影響されてると思います。

―そうですよね。よくある音ネタって、合いの手が入れやすい一定のリズムで笑いを生み出すやり方だと思うんですけど、粗品さんのピンネタはいろんなリズムがどんどん重なってくるし、同じタイムラインに違うリズムが流れていていたりする。音楽的にすごく高度なお笑いという気がしているんです。

粗品:確かにそうですね。ヒャダインさんが急にテンポを落とすように、急に転調するようにフリップネタで変な1枚を挟んだりとかする。あれ羅列のネタなんで、適当に順番を組んでるように見られるんですけど、「この3枚使った後は、この1枚でさっと行きたいな」とか、緻密に考えている。あれもリズムが複雑に入り組んでいるので、めちゃくちゃ影響されてますね。

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