ウルフギャング・ヴァン・ヘイレンが語る、不滅のロック愛

ウルフギャング・ヴァン・ヘイレン



とにかく「実際に演奏すること」を続けるべき

―アートワークも面白いですね。ジャケットにはマンモスが描かれることになるのかと予想していましたが、実際にそこに登場しているのは、いわばマンモス級のサイズのカニ。昔のSF小説の挿絵か何かのようでもありますが、このアートワークについて少し説明してもらえないでしょうか?

WVH:僕自身、この作品の大ファンでね。ジョン・ブロシオというアーティストによるものなんだ(注:ブロシオは1968年生まれ、アメリカのシュルレアリスム系現代画家)。原作は確か2004年か2006年に描かれたもので『Fatigue 2』というタイトルだったはずだ(注:ブロシオのオフィシャル・サイトによれば2009年の作品であるとのこと。ちなみに“fatigue”は“疲労”を意味する)。マンモスという言葉は、動物そのものよりも、その意味合い、つまり“巨大な”“馬鹿デカい”といった意味で捉えたんだ。このブロシオの作品においては、普通は小さいはずのものが巨大で、それが日常生活を邪魔するさまが表現されているんだ。同時にこれは、僕自身が自分の音楽をどのように捉えたいか、ということを示してもいるよ。

―先行リリースされた楽曲のひとつである「DISTANCE」が、誰に捧げられたものであるかはもちろん把握しています。ただ、結果的にこの曲は、このパンデミック下、会いたい人にも会えない日々を過ごしてきた人たちすべてが共有できるものになっていると思います。ご自身ではどう感じていますか?

WVH:実際、この曲が誰に捧げられているかは誰の目にも明白だろうと思う。ただ、僕は、この内容に誰もがその人なりの意味を見出せるような視点でこの曲を書いたつもりだ。全体的なテーマは喪失感ということになるけれど、悲しいことにそれは誰もが感じ得るものだよね。特にこの1年のようなひどい状況において、僕たちが経験してきたことを踏まえれば、誰もが一個人としても集団のひとりとしても共感できる内容なんじゃないかと思う。

―話は変わりますが、近年において音楽は、それがロックの範疇にあるものであってもデスクトップで作られることが多くなっていて、実際には楽器が演奏できなくてもテクノロジーの助けを借りながら完成度の高い音源を作ることが可能になっています。あなたは世代的にはそうしたテクノロジーの恩恵を受けているはずですが、同時に昔ながらの“人間が演奏する”ということの大切さを知っている人でもあるはずです。実際、近頃のそうした風潮についてはどう思いますか? また、音楽家志望の子供たちに対して何か言いたいことはありますか? 

WVH:テクノロジーのおかげで、多くの人が好きなものを好きなように録音することができるようになったとは思う。そうした意味でテクノロジーというのは素晴らしいものだけども、そうして便利に力を貸してくれるものがあるからこそ、ナチュラルに生まれ持った能力というものを、人は失ってしまいがちなところがある。だから自分の技術を損なわずにおくためにも、今でも練習することは大事だと思っているよ。それを実際にライブでプレイできるようにするためにもね。だから僕自身は、とにかく“実際に演奏すること”を続けるべきだと思っている。

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