ウルフギャング・ヴァン・ヘイレンが語る、不滅のロック愛

僕が子供だった頃、父がMammothの話をしてくれた

―まずはアルバム完成おめでとうございます。長年、‟あなた自身の音楽”を聴きたいと願ってきた者のひとりとして嬉しく思います。あなたご自身、こうしてアルバムが完成し、発売を待つばかりとなった現在はどのような心境ですか?

WVH:みんなと共有することを待ち望んでいた音楽を、ようやくこうして作品として届けることができるようになって、とても嬉しく思っているよ。ここしばらく、いくつかの曲を先行公開しながらその反応を見ることができたのも、とても価値のある経験になった。この先、みんながこのアルバムをフルで聴くことになるのを僕自身も楽しみにしているし、ここまで来るのには長い時間がかかったけども、そうして時間をかけたことで自分のやりたいことに集中できたし、自分の伝えたいことも明確になったうえでアルバムとして完成させることができたのは良かったと思っているよ。

―あなたがMammoth WVHという名義で活動するというニュースを知った時には、歴史を知る者のひとりとして感慨深いものがありました。このように名乗ることにした理由を改めて説明してもらえますか?

WVH:ヴァン・ヘイレンの熱心なファンの方々は知っているだろうけど、Mammothはヴァン・ヘイレンの前身にあたるバンドの名前で、父がギターを担当する3人編成のバンドだった。僕が子供だった頃、父がそのバンドの話をしてくれたことがあって、その当時から僕自身もその名前を気に入っていたので、大人になってバンドを組んだらこの名前を付けようと自分の中で決めていたんだ。そして、それがこうして現実になったというわけだよ。

―多くの人はあなたをまずベーシストとして認識したわけですが、ステージ上で披露されるバッキング・ヴォーカルの見事さにより、あなたが素晴らしい歌声の持ち主であることに気付き、のちにはマルチ・プレイヤーであることも知ることになりました。今作にも収録されている「DON’T BACK DOWN」のビデオもそれを象徴しています。今回、こうしてすべての楽器を自分でプレイすることになったことにはロックダウンなどの影響も少なからずあるはずだと思いますが、それとは関係なく最初から「100%自分自身」というアルバムを作りたいという願望を持っていたのでしょうか?

WVH:そうだね。僕は最初からそのつもりでいたよ。自分ですべてを演奏できることはわかっていたから、自分だけで実際どの程度できるものなのかを試すための良い機会だと思ったし、パーソナルな挑戦でもあった。それに、実を言うと僕はデイヴ・グロールの大ファンでもあってね。彼がフー・ファイターズを立ち上げた時、最初のアルバムでは全部自分で演奏していたよね。それを知っていたから、自分でも同じことをいつかやってみたいという夢を抱き続けてきたんだ。そして結果、素晴らしい時間を過ごすことができたから、きっとまたこのやり方でやりたくなるはずだと思う。



―今作ではマイケル“エルヴィス”バスキットがプロデューサーに起用されています。彼を選んだ理由・経緯を教えてください。資料によると「リード・ヴォーカリストとしての自信を得るための手助けをしてくれた」とのことですが、具体的にはどのような貢献があったのでしょうか?

WVH:エルヴィスとは、トレモンティで活動していた当時、一緒に仕事をしたことがあってね(注:トレモンティはアルター・ブリッジのギタリスト、マーク・トレモンティがフロントを務めるバンドで、ウルフギャングは『CAUTERIZE』(2015年)、『DUST』(2016年)の2作品に参加)。当時、レコーディング中のオフ時間に自分のデモを彼に聴いてもらい、意気投合して、もっと一緒に仕事ができないかということになったんだ。そして実際、トレモンティの録音終了後、時間を作って僕自身のデモを一緒に録った。それ以来、彼とは仕事上の良い関係と友情を築いてきたんだ。以降の時間悔過の中で、彼は、僕がまだ自信を持てていなかったいくつかのことについて後押ししてくれた。演奏面ばかりではなく、ヴォーカルについてもね。僕自身、バッキング・ヴォーカルはずっとやってきたけども、いざリード・ヴォーカルをとるとなると、やっぱり不安をおぼえずにはいられなかった。そんな時、エルヴィスは僕が自信を獲得するうえでの手助けをしてくれて、不安と自信の境界線を飛び越えさせてくれたんだ。だからとても感謝しているよ。

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