つらさを耐え凌ぐための自傷行為 周囲の人が取るべき行動と認識

リストカットなどの自傷行為は、激しい怒りや絶望感、不安感などの、自分ではどうにもならない辛い不快な感情への対処が目的であるケースが多く、本来は自殺企図とは異なる行動として区別されます。しかし自傷行為を繰り返す人には慢性的な自殺念慮を抱いている人も多く、長期的な自殺リスクは自傷行為未経験者よりもかなり高いことが研究で明らかになっています。また、一般の中学生や高校生の1割は、少なくとも1回、刃物で自分の体の表面を切るという経験があるということも調査でわかっています。周囲の大人はそれに気づいていないことが多いため、もっと少ないだろうと思ってしまっていますが、10人に1人と決して稀なことではないのです。

よくある誤解として「構って欲しいアピール的な行為だ」というのがあります。そうしたケースが全くないわけではありませんが、実際は、自傷行為を繰り返す若者の96%はひとりきりで行い、誰にもそれを告げません。つまり、ほとんどの場合はアピール的な行為ではなく、むしろ圧倒的に辛い気持ちに対し自分一人でなんとか耐え忍ぼうとしているのです。しかし、自傷行為は一時的に心の痛みを和らげますが、長期的には慣れも加わって、だんだん行為が過剰になってしまうことがあります。また、その過程で周囲の人が感情的に振り回されてしまい、その結果としてサポートする人が離れ、少なくなっていってしまうこともあります。そうなると、自殺リスクは高まってしまいます。

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