社会から受ける「男らしさ」というプレッシャー、助けを求められずに陥るアルコール依存

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今年9月に書籍『なぜアーティストは壊れやすいのか?』を出版した、音楽学校教師で産業カウンセラーの手島将彦。同書では、自身でもアーティスト活動・マネージメント経験のある彼が、ミュージシャンたちのエピソードをもとに、カウンセリングやメンタルヘルスに関する基本を語り、アーティストやスタッフが活動しやすい環境を作るためのヒントを記している。そんな手島が日本に限らず世界の音楽業界を中心にメンタルヘルスや世の中への捉え方を一考する連載「世界の方が狂っている 〜アーティストを通して考える社会とメンタルヘルス〜」。第5回は、男性に求められてしまう傾向にある「弱音を吐くことへの抵抗」と自殺率について語る。
 

デビュー後すぐに高い評価を受け、2013年に発表した2ndアルバムがイギリス・マーキュリー賞の大賞を獲得したジェイムス・ブレイク。彼は、2018年に自分がうつ病と不安神経症(全般性不安障害)に苦しんできたことを明かしました。そして「創造力と心理的苦悩を混同しないように気をつけるべきだ」、「不安でなければクリエイティブになれないとか、絶望していなければ天才でないというような通説がある。でも僕が何かを創る時に不安神経症が助けになったことなどないとはっきり言える。そして友人たちの創造的プロセスを破壊するところも見てきた」と語っています。確かに、彼が言うような「不安や絶望がクリエイティブには必要」であるかのような通説があるかもしれませんが、誰しもがその才能を認める彼のような音楽家が「それは必要ない」と断言していることは、とても重要だと思います。

また彼は「男性が自身の感情についてありのままに語ることについて、不健康だとか、問題があるとかと形容されるのをずっと見てきた」、「マチズモや虚栄心が最終的に偉大な勝利を収めることはない」と語り、メンタルヘルスの問題解決のためには、伝統的な「男らしさ」に固執せず、自分の感情に正直であるべきだと主張しました。

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