伊藤美来が語る「攻め」の背景、さらなる広がりを得たポップスの世界

挑戦的な楽曲を歌おうと思った理由

─前作が非常に統一感の強い作風だったのに対し、今作では楽曲の幅をどんどん広げつつも、伊藤さんらしいポップスへのこだわりはまったくブレていない。そんなアルバムになっていると感じました。

ありがとうございます。確かに今回の『Rhythmic Flavor』にはたくさんの挑戦があって、「BEAM YOU」や「Born Fighter」みたいにいろんなジャンルの個性豊かな楽曲が揃っていて。王道な楽曲ももちろんあるけど、全体的には強気に攻めていて、私はそれがすごくいいなと思ったんです。それも『PopSkip』でひとつ地盤が固まったからこそ、次は新しいものを見てもらいたいなと、ちょっと遊び心というか挑戦をたくさんしようと考えたらこんな感じになりました(笑)。

─では、事前に「こういう曲があったらいいな」という話をスタッフさんとしていたんですか?

はい。今回は11曲中6曲が新曲なんですが、「どんな曲にする?」みたいな打ち合わせをディレクターさんとやらせていただいて、私からもいくつか「こういう感じはどうでしょうか?」という提案をさせてもらいました。例えば、「ライブで盛り上がれる曲があったらいいよね?」ってことで「Born Fighter」を作っていただいたし、「BEAM YOU」も「音数を少なくして声を前に出した曲を歌いたいです」とリクエストして作っていただいた楽曲なんです。

─「BEAM YOU」は伊藤さんがこういう曲を歌いたいと提案して生まれた曲だったんですね。それにしても、この挑戦的な楽曲からアルバムがスタートするというのも、かなり攻めていますよね。

そうですね。今までとはちょっと違うオープニングですし、「BEAM YOU」から始まることで、そのあとに待ち構える個性豊かな楽曲たちに対するワクワク感が増すのかな。そういう意味では、このアルバムの軸になっている楽曲かなと思います。



─「BEAM YOU」のような楽曲はバックトラックの音数が少ないぶん、伊藤さんの歌に注目が集まると思います。ご自身の中で歌に対する自信がより持てるようになったのも大きいんでしょうか?

「BEAM YOU」は隣で喋っているように、歌声と聴いてくださる方との距離が近くてドキドキするんですけど、昔だったら絶対に歌えなかった曲だと思っていて。そう考えると、以前よりも歌に自信が持てるようになったし、今だからこその楽曲かもしれませんね。

─こういう曲を今歌いたいと思えるようになったきっかけって、何か具体的にあったんでしょうか?

やっぱり『PopSkip』が私の中で自信を持って皆様に届けられる、とても良いアルバムになったことが大きくて。そこを超えていきたくて、今回は制作の初期段階から打ち合わせに参加させていただいて、こういう挑戦的な楽曲も歌ってみたいと言ってみたんです。

─前作で得たものは相当大きかったんですね。選択肢としては、例えば前作の方向性をより濃いものにして、レベルを高めていくこともやろうと思えばできたと思うんですが、そうではなかったと。

ああ、確かにそうですよね。『PopSkip』での路線のレベルを上げていくというのも、ひとつの手でしたよね。今気づきました(笑)。でも、やっぱり新しいものを見せたいという気持ちが大きかったんだと思います。『Rhythmic Flavor』には前作を踏襲した楽曲ももちろん収録されていますけど、そこにプラスアルファで新しいものとか「おっ、いつもと違うじゃん」と思ってもらえる面白さは出していきたい、そういう部分で変化を出したいと思ったんです。

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