石崎ひゅーい、新曲で歌うのは"次に進むためのバッドエンド"

ーとはいえ、みなさんが思っている石崎ひゅーいさんの曲というイメージはあると思うんですよ。それで言うと今回はサビの歌詞に〈Yai Yai Yai Yai Yai Yai Yai Yah〉という言葉じゃないフレーズが出てきていて。これは今までにない感じじゃないですか。

石崎:最終的に、なんて言っていいかわからないというのを、そのまんま歌にしたんですよね。映画自体にも、「果たして何のために勝負し続けているんだろう?」みたいなシーンがあって。でもそれってひと言では絶対に表せなくて。そんな気持ちが出ればいいなと思って書いたんです。

ー「Flowers」は〈いつか僕ら それぞれの咲き方で 誇らしく散れるなら〉という歌詞にあるようにすごく刹那的に聴こえます。半ばやけくそぐらいの気持ちも入っているように感じますが、そこはどう思って書きましたか。

石崎:やけくそというもあるんですけど、僕としてはどちらかというと「決別」っていうような気持ちです。終わりにするというんじゃなくて、ここから違う場所に行くというか。次のフェーズに向かっていくための「さよなら」ということなんです。そんなことを書ければ良いなって。僕はこれまでバッドエンドみたいな表現の仕方をしてこなかったんですけど、それはそれでありだなって思い始めたんですよね。昔は最終的に救いがあるもの、光があるものを意識して曲を作っていたんですけど、もう強烈なバッドエンドとかがないと、終わりにもできないというか。そういう衝撃的な終わり方、めちゃくちゃつらい終わり方をするというのも、1つの決別というところに繋がる表現になるなとは思っていて。それは最近変わってきたかもしれないですね。


2019年12月3日@赤坂BLITZ 撮影:鈴木友莉

ー続いていくための決別ということですね。そこもこの映画とリンクしているというか。

石崎:そう……だと良いなと思います(笑)。

ーまだ公開前ですもんね(笑)。今回、音作りも疾走感、リズム感がボクシングの映像と合っていると思ったのですが、ドラムの音がサンドバッグを叩いているような音に聴こえるのは深読みしすぎでしょうか。

石崎:デビューのときから一緒にやってもらっているアレンジャーのトオミヨウさんと今回も作らせてもらったんですけど、同じタイミングで映像を見て作れたので、そういう音の感じはボクシングの試合を連想させるという意識はあると思います。僕もトオミさんもそういう共通意識の中で作っていたので。ドラムの音は結構悩みました。生ドラムの音とドラムマシンの音を混ぜているんですけど、曲の表情をソリッドにさせるというか、それは意識してました。

Rolling Stone Japan 編集部

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